残業後、終電間際の電車に揺られながら、ぼんやりスマホを開いた。座れたのは奇跡だけど、立ってたら多分そのまま意識飛んでたと思う。今日、タナカ課長に「この資料、明日の朝イチまでにもう一回やり直して」って言われた瞬間の私の顔、多分すごかったと思う。いや、定時の10分前に言うなよ。そんなことを反芻しながら、DMMブックスのおすすめ欄をダラダラとスクロールしてたら、目に飛び込んできたのが『結界師への転生』ってタイトルだった。
結界師。転生。……ブラック企業で働く34歳が異世界に転生。いや、待って。34歳?ブラック企業?私じゃん。いや私は30代の事務職であってブラック企業かどうかは……いやグレーだな、限りなく黒に近いグレー。しかもこの主人公、転生先で奴隷スタートって。ちょっと待ってくれ、転生したのに奴隷って、それ現世より状況悪くないか?って思ったのに、なぜかタップする指が止まらなかった。
気づいたら終電とっくに過ぎてた。いや嘘、ギリギリ乗り換えには間に合ったけど、危なかった。帰宅してからも布団の中でずっと読み続けてしまって、気づいたら午前2時。明日の朝イチの資料?……知らない。私は今、結界の中にいるから。
今日のユウのため息 ── 将来への不安・恋愛の枯渇 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 結界師への転生

| 作品名 | 結界師への転生 |
|---|---|
| 作者 | 片岡直太郎, 装一, 雫綺一生 |
| シリーズ | 結界師への転生 |
| ジャンル | バトル・アクション, ファンタジー, DMMブックス限定特典付き |
要するにこういう話だ。ブラック企業勤めの久保たもつさん(34歳)が、気づいたら異世界に転生してた。ここまではよくある話。でもこの作品、転生先が6歳の奴隷ってところからもう容赦がない。しかも持ってるスキルが「結界師」。剣でバッサバサ敵を倒す系じゃなくて、守り特化。地味……いや、地味とか言ったら怒られそうだけど、でも最初はそう思ったのよ正直。
奴隷市で売れ残って処分されかけるっていう、転生早々のハードモードっぷり。でもそこをバーサーム侯爵家に拾われて、「リノス」として育てられることになる。専属の結界師として才能を開花させていく……っていう、いわば「底辺スタートからの成り上がり」ストーリー。「小説家になろう」発ってことは、もう原作の段階でかなり人気があったってことだよね。
一行でまとめると、「ブラック企業の34歳が異世界で6歳の奴隷結界師に転生して、侯爵家の専属結界師として成り上がっていく話」。情報量が多い。でもそこがいい。
見どころ①:「結界師」って地味に見えて実はめちゃくちゃ熱い設定だった
異世界転生もので「結界師」って、最初はちょっと意外だった。だいたいこういうジャンルって「最強の剣士」とか「規格外の魔法使い」とか、攻撃ゴリゴリのチートが多いじゃないですか。でも結界って、守る力なんだよね。誰かを守るために壁を張る。それって考えてみたらめちゃくちゃかっこよくない?攻撃じゃなくて防御で無双するって、なんか新鮮で、あらすじ読んだ時点でもう「あ、これ好きなやつだ」って直感があった。
しかもこの主人公、元がブラック企業勤めの社会人だから、異世界の理不尽に対する耐性が異常に高そうなのがリアルでいい。奴隷として売れ残って処分されかけても、たぶん「あー、まあそういうこともあるか」くらいの温度感で乗り越えてそう。ブラック企業で鍛えられた精神力、異世界でも活きるのか……って思うと笑えるけど、笑えない。私たちの日常がそのまま異世界のサバイバルスキルになるって、どういう世界に生きてるんだ私たち。
バーサーム侯爵家に拾われてからは、結界師としての才能をどんどん開花させていくみたいだし、あらすじの「次から次に降りかかってくる厄介ごと」ってフレーズがもう、この手のジャンルの醍醐味を約束してくれてる感じがする。トラブルが来るたびに結界でなんとかする。その「なんとかする」過程が見たいんだよ、私は。問題が起きて、頭使って、スキルで切り抜ける。現実じゃ毎日降りかかる厄介ごとに対して「結界」なんて張れないけど、せめてマンガの中では主人公が全部弾き返してくれるのを見たい。
あと個人的に「成り上がり」要素が入ってるのがたまらない。奴隷からスタートして侯爵家の専属結界師って、身分の振れ幅がすごい。こういう底辺から這い上がっていく系の話、疲れた夜に読むと妙に元気が出るんだよなぁ。
見どころ②:元ブラック企業勤め34歳の魂を持つ6歳児、強すぎないか
主人公のリノス、中身が34歳のブラック企業戦士で外見が6歳の子どもって、この設定だけでもうズルい。あらすじを読む限り、この「中身おっさん×外見子ども」のギャップがいろんな場面で活きてきそうじゃないですか。大人の思考回路と処世術を持った子どもが侯爵家で結界師として立ち回るとか、絶対面白いに決まってる。
しかも元がブラック企業勤めっていうのが、私みたいな社畜読者にとっては最高の自己投影ポイントなわけで。「この主人公、前世で私と同じような地獄を見てきたんだな……」って思うだけで謎の連帯感が生まれる。久保たもつさん、34歳。たぶん前世ではExcelとにらめっこして、理不尽な上司に詰められて、終電で帰ってたんだろうな。わかるよ、わかる。でも異世界では結界師として必要とされてる。それだけで泣ける。
バーサーム侯爵家の人たちも気になる。「拾ってくれた」ってことは、少なくとも処分されかけてた奴隷を助けてくれたわけで。こういう「居場所を与えてくれる存在」がいる異世界転生もの、本当に弱いんだよなぁ私。現実で誰にも必要とされてない感覚に押しつぶされそうな夜に、「お前は必要だ」って言ってくれる人がいる物語を読むと、フィクションだってわかってても心が少し軽くなる。侯爵家の面々がどんなキャラなのか、あらすじだけじゃわからないけど、この手の作品だと厳しいけど根は優しい主人とか、世話焼きの使用人とか、いそうじゃない?想像するだけで楽しい。
あとあらすじの「日々結界師としての才能を開花させていく」って部分、リノスが努力して成長していく姿が見られるんだろうなと思うとワクワクする。天才型じゃなくてコツコツ型だったらなお嬉しい。ブラック企業仕込みの根性で結界の腕を磨くリノス、応援しないわけがない。
見どころ③:守る力で無双するバトルの爽快感、クセになる
バトル・アクションがジャンルに入ってる以上、この作品の真骨頂はやっぱり戦闘シーンにあるんだと思う。しかも「結界師」っていう、ちょっと変化球な戦い方。剣で斬る、魔法で焼くっていう直接攻撃じゃなくて、結界で守って、結界で封じて、結界で制圧する。この「防御が最大の攻撃」みたいな逆転の発想、読んでて絶対気持ちいいやつだと思う。あらすじの「次から次に降りかかってくる厄介ごと」を結界スキルで乗り越えていく展開、想像するだけでアドレナリン出る。
異世界転生バトルものの醍醐味って、主人公が自分のスキルを工夫して使いこなしていくところにあると私は思ってて。結界って一口に言っても、守るだけじゃなくて攻撃に転用したり、トラップにしたり、いろんな応用がありそうじゃないですか。そういう「頭脳戦×スキル活用」の組み合わせが見られるんだとしたら、これはもう読み応えがあるに決まってる。脳筋じゃない主人公のバトル、大好物なんだよなぁ。
……でもまあ、どれだけ主人公が結界で無双しても、私の現実には結界は張れないわけで。明日もタナカ課長の小言を防御壁なしで受け止めなきゃいけない。せめてこのマンガを読んでる間だけは、リノスの結界の内側にいさせてくれ。頼むから。
見どころ④:ブラック企業経験者が異世界で花開く姿に、社畜は泣く
この作品、主人公の前世が「ブラック企業勤めの34歳」っていう設定が本当に絶妙だと思う。異世界転生ものの主人公の前世って「普通の高校生」とか「普通のサラリーマン」が多い中、わざわざ「ブラック企業」って明記してくるの、制作サイドわかってるなぁって。これ読んでる層の何割がブラック企業経験者だと思ってるんだ。……たぶん結構な割合だよね。私含めて。
現実でどれだけ頑張っても報われない、評価されない、処分……じゃなくて異動させられそうになる。そんな日常を過ごしてる人間にとって、「前世の苦労が異世界でスキルとして花開く」っていう展開は最高のカタルシスなのよ。ミカ先輩に「ユウちゃんって要領悪いよね」って言われた日の夜に読んだら、多分ボロ泣きする。いや、泣かないけど。泣かないけど目から汗は出るかもしれない。
久保たもつさんがリノスとして必要とされて、才能を認められて、侯爵家で居場所を見つけていく。それって要するに、「今まで報われなかった人間が、環境が変わったら輝けた」っていう話でしょ。……転職エージェントの広告かな?いや違う、これはマンガだ。でも、ちょっとだけ希望をもらえる。ちょっとだけね。
ユウの本音まとめ
正直、「結界師」ってワードに最初はそこまでピンと来てなかった。でもあらすじを読んで、ブラック企業出身の主人公が奴隷からスタートして結界師として成り上がっていくっていう流れを知った瞬間、「あ、これ好きなやつだ」って確信に変わった。攻撃じゃなくて防御で戦うっていう新鮮さ、底辺からの成り上がり、そして何より元社畜の主人公に自分を重ねられるっていう、社畜読者にとって至れり尽くせりな設定。
異世界転生ものは数えきれないほどあるけど、「結界師」っていう切り口はなかなか見ない気がするし、「小説家になろう」発で人気が出てコミカライズされてるってことは、原作の時点でストーリーの骨組みがしっかりしてるんだろうなって期待が持てる。リノスがどんな結界を張って、どんな厄介ごとを乗り越えていくのか、続きが気になってしょうがない。
現実には結界なんて張れないし、異世界にも転生できない。明日も6時半に起きて満員電車に乗って、タナカ課長の小言を生身で受け止める。でも、こういうマンガがスマホの中にあると思うだけで、ほんの少しだけ月曜の朝が怖くなくなる。ほんの少しだけね。……次の巻が出たら有給取って読むって決めた。嘘。有給取れないから昼休みに読む。

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