給料日前のカップ麺を啜りながら、スマホをスクロールしていた。給料日まであと4日。冷蔵庫には賞味期限が怪しい豆腐と、使いかけのチューブわさびしかない。こういう夜に限って、電子書籍アプリのおすすめ欄が暴力的なんだよな。「聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました」。……いや、タイトルが長い。でも「のんびりご飯」という4文字が、カップ麺の残り汁を見つめる私の心にクリティカルヒットした。表紙がまた、なんかもう美味しそうなご飯と優しそうな女の子で、明らかに「疲れたあなたおいで」って手招きしてるやつ。
聖女召喚で異世界に行ったのに聖女じゃなかった、って設定だけで「あっ、これ好きなやつだ」ってわかる。私、「期待されてたポジションから外れて、自分の好きなことで居場所を見つける」系の話に弱いんだよね。たぶん、会社で事務職として淡々と数字を打ち込む毎日に、なにか意味を見出したいからだと思う。
で、読み始めたらもう止まらない。給料日前だからお腹も空いてるのに、画面の中には美味しそうなご飯の描写が次々と出てくるらしい予感がビンビンする。カップ麺の残り汁を飲み干しながら、私は布団にもぐった。これ、明日も仕事なのにやばいやつだ。
今日のユウのため息 ── 意味のない社内業務 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました

| 作品名 | 聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました |
|---|---|
| 作者 | 朝谷コトリ, 神山りお, たらんぼマン |
| シリーズ | 聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました |
| ジャンル | ファンタジー |
要するにこういう話だ。主人公の莉奈は「聖女召喚」で異世界にやって来た、いわゆる召喚系のヒロイン。でも蓋を開けてみたら聖女じゃなかった。……うん、この時点でめちゃくちゃ気持ちわかる。会社の面接で「即戦力として期待しています」って言われたのに、配属先が全然違う部署だったあの感覚と似てる気がする。
で、莉奈がまず驚いたのが、異世界のご飯のまずさ。王宮ですらまずいって相当だよね。日本の社食だって、まあまあ食べられるレベルなのに。「もう自分で作るから厨房貸して!」って言い出すの、行動力がすごい。普通の人なら我慢して食べるか、文句言いつつ耐えるかなのに。そこから莉奈は美味しい料理で王族たちの心と胃袋を掴んでいくっていう、料理×異世界×ほのぼのの最高の組み合わせ。
一言でまとめると、「聖女になれなかった普通の女の子が、料理スキルで異世界の王宮をおいしく幸せにしていく話」。戦闘じゃなくて料理で無双するの、最高すぎない?
見どころ①:「ご飯がまずい」から始まる革命、共感しかない
この作品の設定、地味に天才だと思う。異世界召喚ものって、だいたい「魔王を倒せ」とか「勇者として戦え」みたいな重い使命がセットじゃないですか。でもこの作品は、聖女じゃなかったことで「お役御免」になるところから始まる。これがもう、逆にご褒美なんだよね。重い責任から解放されて、自分の得意なことに全振りできるって、めちゃくちゃ理想的な展開。
しかも、莉奈が問題にしたのが「ご飯のまずさ」っていうのが最高。異世界の危機って、魔物とか魔王とか壮大なものが多いけど、「飯がまずい」って実はかなり深刻な問題だよね。私だって、お昼のお弁当がおいしいかどうかで午後のモチベーション全然変わるもん。食は心のインフラなんだよ。それを莉奈がわかってるの、すごく人間味があって好き。
あらすじを読む限り、莉奈は王宮の厨房を借りて自分で料理を作り始めるわけだけど、「美味しい料理で心と胃袋を掴んでいく」って展開がたまらない。戦闘力じゃなくて、料理の腕で周囲の人間関係を変えていくって、ある意味一番リアルに「すごい」って思えるスキルだと思う。だって私たちの現実でも、料理がうまい人って無条件で尊敬されるじゃん。
この手のジャンルの醍醐味は、主人公がゆっくり居場所を作っていく過程だと思うんだけど、その道具が「料理」っていうのが温かい。剣でもなく魔法でもなく、おいしいご飯。……給料日前にカップ麺食べてる私に、これ以上ないくらい刺さるテーマだよ。
見どころ②:莉奈、あなた私の理想の生き方してる
莉奈っていうキャラ、あらすじの時点でもう好き。聖女じゃなかったって判明した時点で、落ち込んだり拗ねたりするんじゃなくて、「じゃあ料理作るわ」って切り替えるの、メンタルの強さが異次元。いや、強さっていうか、柔軟さ? 自分にできることを冷静に見つけて、そこに全力注げるの、私には絶対できないやつ。会社で担当業務変えられたら、たぶん3日は愚痴言い続ける。
しかも「王宮でさえこの味なの……?」って驚けるってことは、莉奈は元の世界でそれなりに料理してたんだろうなって推測できる。自炊できる女の子、それだけで尊い。私なんてコンビニ弁当とカップ麺のローテーションで生きてるから、料理できる人への憧れがすごいんだよ。莉奈に自己投影っていうより、莉奈に餌付けされたい側の人間だわ、私は。
そして王族たちが莉奈の料理で心を掴まれていくっていう構図、これがまたいい。この手の作品って、最初は主人公を軽く見てた周囲が、徐々に「この子すごいぞ」って態度を変えていくのが王道だと思うんだけど、それが「おいしい」って顔をする瞬間で表現されるの、想像するだけで幸せ。うちのタナカ課長も、誰かおいしいご飯で機嫌直してくれないかな。毎週月曜の朝の不機嫌、なんとかしてほしい。
あとこういう作品って、莉奈を見守ってくれるあったかいキャラが絶対いるはず。タイトルに「のんびり」って入ってる時点で、ギスギスした人間関係じゃないことが約束されてるようなもんだから。安心して読める。安心って大事。現実が不安だらけだから、せめてマンガの中くらい安心させてくれ。
見どころ③:深夜の飯テロで胃袋ごと異世界に連れていかれる
この作品の一番ずるいところ、それは「癒し」の暴力だと思う。異世界ものの癒し系って、スローライフとか田舎暮らしとか色々あるけど、「料理」を軸にしてるのが圧倒的に強い。だって、おいしそうなご飯の描写って無条件に幸せな気持ちになるんだよ。ページをめくるたびに漂ってきそうな湯気とか、食べた人の幸せそうな顔とか、もう癒しの極み。
しかもこれ、「のんびり」がタイトルに入ってるのがポイント高い。バトルで手に汗握る展開じゃなくて、「今日は何作ろうかな」みたいなテンションで読めるっていうのが、疲れた夜には最高のご褒美。仕事終わりのぐったりした脳みそに、ちょうどいい温度の優しさが染み込んでくる感じ。私が求めてるのはこれなんだよ。刺激じゃなくて、じんわりした温かさ。
……でもね、結局読み終わったら私のキッチンにあるのはカップ麺のストックと冷凍ご飯だけなんだよな。莉奈は王宮の厨房で腕を振るってるのに、私は電子レンジの「あたため」ボタンを押すだけ。異世界と現実の差がえぐい。でもいいの。このマンガを読んでる間だけは、私も王宮の食卓に座ってる気分になれるから。それで十分。明日のお昼、ちょっとだけいいもの食べよう……って思えるだけで、このマンガの存在価値はある。
見どころ④:社食のまずさに絶望したことがある全ての同志へ
莉奈が「王宮でさえこの味なの?」って驚くシーン、あらすじだけで笑ったんだけど、同時にめちゃくちゃ共感した。うちの社食、別にまずくはないけど、毎日同じようなメニューで心が死ぬんだよね。「今日もこれか……」って思いながら食べる昼ごはん。莉奈は行動に移したけど、私は黙って食べてる。その差。
でもさ、考えてみたら、莉奈がやってることって要は「自分のスキルで職場環境を改善してる」ってことなんだよね。聖女の役目からは外れたけど、料理っていう別のスキルで自分の居場所を確立してる。これ、会社で「あなたにはこの仕事は向いてないね」って言われた時に、別の得意分野で存在感を出すのと同じじゃん。ミカ先輩が「仕事は適材適所よ」ってよく言うけど、莉奈はまさにそれを異世界で体現してる。
このマンガ、仕事で「自分の役割って何だろう」ってモヤモヤしてる人に読んでほしい。大きな使命じゃなくても、自分にできることで誰かを笑顔にできるって、それだけですごいことなんだよ。……って、なんか自己啓発みたいになっちゃった。違う違う。単純に、疲れた夜にあったかいご飯のマンガ読むと心が凪になるって話。それだけ。
ユウの本音まとめ
正直、あらすじを読んだだけで「あ、これ好きなやつだ」ってわかる作品ってそんなに多くない。でも『聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました』は、タイトルの時点で私のツボを全部押してきた。聖女じゃなかった→開き直り→料理で居場所を作る、っていう流れが気持ちよすぎる。重い展開とか裏切りとかじゃなくて、おいしいご飯で人の心を掴んでいくっていう温かい物語。これが疲れた夜に効かないわけがない。
カップ麺を啜りながら読み始めた夜から、ちょっとだけ「明日は自炊してみようかな」って思えるようになった。……実際にやるかどうかは別として。でも、こういう小さな前向きさをくれるマンガって貴重なんだよ。続きが出たら、今度はせめてちゃんとしたご飯を食べながら読みたい。
現実の私の冷蔵庫は相変わらず寂しいけど、このマンガがスマホの中にあるだけで、なんかちょっとお腹いっぱいな気持ちになれる。……いや、やっぱりお腹は空いてる。でも心は満たされた。それでいい。明日も会社行って、お昼だけはちょっといいもの食べよう。

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