飲み会を断った。ミカ先輩に「付き合い悪いなぁ」って言われたけど、知らない。今日の私はもう限界だった。朝イチで取引先からクレームの電話、昼は昼でタナカ課長の思いつき資料作成、午後は会議のための会議。帰宅したらもう21時で、風呂から上がったら髪を乾かす気力もなくてタオルを巻いたままベッドに倒れ込んだ。スマホだけは手放せない。唯一の生命維持装置だから。
電子書籍アプリの「あなたへのおすすめ」に出てきたのが、この『ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記』だった。タイトルの「社畜」の二文字が視界に飛び込んできた瞬間、指が勝手にタップしてた。「ちょいクズ」って何。「ハーレム建国」って何。全部の単語がツッコミどころなのに、なんか……すごく気になる。表紙の巨乳女神様(たぶん)がこちらを見つめている。いや、私が見つめられてどうするんだって話なんだけど。
気がついたら1話どころじゃなかった。濡れた髪のまま読み続けて、気づいたら日付が変わってた。明日も仕事なのに。でもさ、「過労死した社畜が異世界で楽園を築く」って、もうそれだけで読む理由として十分じゃない? 私だって過労死はしたくないけど、楽園は築きたい。
今日のユウのため息 ── 食生活の乱れ ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記【単行本版】

| 作品名 | ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記【単行本版】 |
|---|---|
| 作者 | 油揚メテオ, シメサバ |
| シリーズ | ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記【単行本版】 |
| ジャンル | ラブコメ, バトル・アクション, お色気, 異世界系, ファンタジー |
要するにこういう話。ブラック企業で働き詰めた末に過労死したサラリーマン・麻桐幸(アサギリ・コウ)が、巨乳の女神様に出会って異世界に転移させてもらう。しかも若返った姿で。目的は魔族から人々を救うこと……なんだけど、まずはモンスターを倒してスキルアップして、荒野でサバイバルしながら「自分だけの楽園」を建国していくっていう。
で、そこに謎の美女エルフ・ルーナが現れて「私に勝てたなら…この身を好きにしていいぞ!!」とか言い出すわけ。決闘して、キスだけのつもりが全裸のエルフが……って、もう展開が完全に男の夢フルコース。タイトルに「ハーレム建国」って書いてあるんだから、ここからさらに仲間(というか美女)が増えていくんだろうなっていうのは容易に想像つく。
一行でまとめると、「過労死した社畜が異世界で若返って、美女に囲まれながら自分だけの国を作る話」。……なんだこの完璧な現実逃避は。
見どころ①:「自分だけの楽園を築く」って、社畜が一番聞きたい言葉じゃない?
異世界転生ものって山ほどあるけど、この作品の設定で私がグッときたのは「楽園を自分で作る」っていうところ。誰かの国に仕えるんじゃない、誰かの冒険者パーティに入るんじゃない。自分で、ゼロから、誰にも邪魔されない場所を作る。……これ、社畜が毎日夢見てることそのものじゃないか。
だって考えてみてほしい。私たちの日常って、全部「誰かに管理された場所」で過ごしてるんだよね。会社はタナカ課長の采配次第だし、アパートは大家さんのルールがあるし、通勤電車は時刻表に縛られてるし。「自分だけの場所」なんてどこにもない。なのに主人公は荒野からスタートして、魔法スキルを使いながら自分の居場所を一から築いていく。このサバイバル感と建国の進行が、あらすじを読む限りこの作品の大きな軸になってるっぽくて、それがもう……たまらない。
しかも主人公がもともと社畜っていう設定がいい。チート能力をもらっても、その根底にあるのは「働き詰めで死んだ男」なんだよ。異世界ものの主人公が社畜設定なのは珍しくないけど、「過労死」からスタートしてるのはリアルにゾッとする。でもだからこそ、その先の展開に感情が乗る。「この人、もう二度と使い潰されちゃダメだ」って思いながら読んじゃうんだよね。
あとラブコメ要素とバトル要素が両立してるジャンル構成も、読んでて飽きなさそう。荒野でサバイブしつつモンスターと戦って、でもそこに美女エルフが参入してきてドタバタもある。この緩急が異世界マンガの醍醐味だよなぁと思う。
見どころ②:ちょいクズなのがいい。完璧超人じゃないのがいい。
主人公の麻桐幸、タイトルに堂々と「ちょいクズ」って書かれてるのがまずいい。異世界転生ものの主人公って、聖人君子タイプか、冷酷無比なダークヒーロータイプか、どっちかに振り切ってることが多い印象なんだけど、「ちょいクズ」って絶妙すぎない? 決闘に勝ったらキスだけにしとこうと思ってたのに結局……っていうくだり、あらすじだけでもう「あぁ、こいつちょいクズだわ」って伝わってくる。でもそれが不快じゃなくて、むしろ人間臭くて好感が持てるっていう。完璧な人間より、ちょっとだらしないくらいの方が応援したくなるんだよね。
そしてエルフのルーナ。「私に勝てたなら…この身を好きにしていいぞ!!」って自分から言っちゃうタイプのヒロイン。強気で自信家なんだろうなって想像できるし、でもそれが崩れる瞬間がきっとあるんだろうなって思うとニヤニヤしてしまう。この手のキャラって、普段は強いのに主人公の前だけ隙を見せるのがたまらないんだよね。あと巨乳の女神様も気になる。転移させてくれるだけの存在なのか、ちょいちょい出てきてくれるのか。この手のジャンルだと女神様ポジションのキャラって意外とおいしい立ち位置にいたりするから。
うちの職場にはルーナみたいな「堂々と勝負を挑んでくる美女エルフ」なんていない。いるのは「堂々と残業を押し付けてくるタナカ課長」だけ。同じ堂々でも天と地の差がある。せめてマンガの中だけでも、美女に囲まれる主人公を眺めて溜飲を下げたい。これは嫉妬じゃない、共感だ。たぶん。
見どころ③:お色気×爽快バトルの合わせ技は寝不足の元
この作品、ジャンルが「ラブコメ、バトル・アクション、お色気、異世界系、ファンタジー」って全部盛りなんだよね。バトルの爽快感とラブコメのドキドキとお色気のサービスが一つの作品に詰まってるの、ある意味欲張りセットすぎる。でもそれがいい。深夜の疲れ切った脳みそには、このくらい刺激が多い方がむしろ丁度いい。
特にバトル面でいうと、モンスターを倒してスキルアップしていく王道の成長要素がありそうで、これが地味に気持ちいいんだよなぁ。レベルが上がる、新しい魔法を覚える、できることが増える。現実の仕事だと「できることが増える=仕事が増える」でしかないのに、異世界だと純粋にパワーアップとして楽しめる。この「成長が報われる世界」っていう構造自体が、社畜には最高のエンターテインメントだと思う。
それにお色気要素も、この手のハーレムものだとストーリーのスパイスとして効いてくるんだよね。真剣にバトルしてたと思ったら急にラッキースケベ展開、みたいなギャップ。疲れた頭にはこのくらいの振り幅がちょうどいい。……でもまぁ、読み終わったらベッドの上で一人なんですけどね、私。スマホの画面が暗くなると、そこに映る疲れた自分の顔。うん、現実。
見どころ④:過労死スタートの主人公に「わかる」しか言えない社畜の夜
主人公の前世が「過労死した社畜」って設定、笑えない。笑えないんだけど、だからこそ感情移入が半端ない。だって私も毎日「このまま働き続けたら死ぬのでは?」って普通に思ってるから。もちろん実際に過労死なんてしたくないし、する前に辞める選択肢はあるんだけど、でもその選択肢を取れないのが社畜ってものじゃないですか。
タナカ課長に「この資料、明日の朝イチまでに」って言われた時の絶望感。ミカ先輩が平然と残業してるから帰りにくい空気。ユナちゃんが新人なのにテキパキ仕事こなしてるのを見て感じる焦り。……そういう日常の積み重ねで少しずつ削られていく感覚を知ってる人間にとって、「過労死した社畜が異世界で楽園を作る」っていうのは、もうファンタジーっていうか願望そのものなんだよ。
もし私にも「スキルアップ」の概念があったら。残業するたびに何かの能力値が上がるんだったら。せめてそういう妄想くらい、このマンガで叶えさせてほしい。
ユウの本音まとめ
正直、タイトルを見た時は「また異世界ハーレムか……」って思った。思ったんだけどさ、あらすじ読んだらもう止まらなくなったんだよね。「過労死した社畜」っていう出発点が、ただの異世界チートものと一線を画してる。そこに「ちょいクズ」っていう完璧じゃない主人公像が乗っかって、さらにハーレム建国っていう夢の全部盛り。なんか、作者さんが「社畜が読みたいものを全部入れました」って言ってるみたいな作品。
ラブコメとバトルとお色気のバランスがジャンル構成的にも良さそうだし、異世界で一から国を作るっていう建国要素は読み進めるモチベーションになりそう。ルーナみたいな強気ヒロインが今後どう絡んでくるのかも気になるし、たぶんハーレム要素でどんどん仲間が増えていく展開もあるんだろうなと思うと、ワクワクしか勝たない。
明日も朝7時に起きて通勤電車に乗って、タナカ課長の無茶振りに耐えて、ミカ先輩の小言を聞き流す。それは変わらない。でもさ、帰ってきたらこの続きが待ってると思うと、なんとか一日やり過ごせる気がする。現実に楽園は作れないけど、スマホの中にはある。それでいいじゃん、今は。

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