飲み会を断って帰宅した夜だった。同期のサトウが「ユウさんも来なよ〜」ってしつこかったけど、正直もう人の顔を見るだけで疲れる日ってあるじゃないですか。お風呂にゆっくり浸かって、髪も乾かさないままベッドにダイブして、スマホの電子マンガアプリを開いた。もう今日は誰とも喋らない。私とスマホだけの世界。最高。
で、おすすめ欄に出てきたのがこれ。『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます@COMIC』。タイトル長っ。いやほんと最近の異世界系ってタイトルがあらすじなのよ。でもこの「悪役モブ」っていうワードが引っかかった。悪役令嬢じゃなくて、悪役の「モブ」?しかも「真っ当に生きます」って。なんだろう、この地味に切実な響き。私も真っ当に生きたいだけなのに、なんで毎日こんなに疲れてるんだろうなぁ。
表紙を見たら、男の子が家族っぽい人たちと一緒に描かれていて、なんとなく温かい雰囲気があった。「家族再生ファンタジー」っていうフレーズが目に入った瞬間、もうタップしてた。読み始めたら止まらない。飲み会断って正解だった。サトウごめん、でもこっちのほうが百倍有意義だった。
今日のユウのため息 ── ちょっとした不運・体調不良 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます@COMIC

| 作品名 | やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます@COMIC |
|---|---|
| 作者 | 戸張ちょも, MIZUNA, Ruki |
| シリーズ | やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます@COMIC |
| ジャンル | 異世界系, ファンタジー |
要するにこういう話。前世でめちゃくちゃやり込んだ乙女ゲームの世界に転生しちゃった主人公・リッド。しかも転生先は、ゲームのシナリオで一家まるごと断罪される運命のバルディア辺境伯家の長男。悪役令嬢ならぬ「悪役モブ」。ヒロインでもラスボスでもない、断罪されるだけのモブ一家の一員。いやそれ、一番しんどいポジションでは?
しかもこの家族がまた問題だらけで。冷酷な父親、孤立してる妹、不治の病の母親。もう崩壊寸前の家庭。ゲームの知識を活かして自分の能力を覚醒させつつ、まずはこのバラバラの家族をなんとかしなきゃいけない。断罪回避のために「真っ当に生きる」って、言うのは簡単だけどさ。
一行でまとめるなら、「乙女ゲームをやり込んだ知識で闇落ち一家を救い、断罪の運命をひっくり返す家族再生ファンタジー」。ネット小説大賞受賞作のコミカライズらしくて、あらすじ読む限り、スケールがどんどん大きくなっていきそうな予感がすごい。
見どころ①:「悪役モブ」という絶妙な立ち位置が天才すぎる
悪役令嬢ものはもう山ほど読んできたけど、「悪役モブ」って設定はなかなか新鮮だなと思った。だって悪役令嬢ならまだゲームの重要キャラだから注目度も高いし、攻略対象との絡みもあるじゃないですか。でも悪役モブって、ゲーム内では「まとめて断罪されるだけのその他大勢」でしょ。そこから這い上がるって、めちゃくちゃハードモードじゃない?
しかもリッドがまず取り組むのが、世界を救うとか魔王を倒すとかじゃなくて「家族の立て直し」っていうのがいい。冷酷な父親との関係、ひとりぼっちの妹、病気の母。あらすじを読む限り、この家族の問題を一つひとつ解きほぐしていく展開が軸になってるみたいで。異世界転生ものなのに、やることが「家庭環境の改善」っていうこの地に足のついた感じ、逆にリアルで刺さるんだよなぁ。
ゲームをやり尽くした記憶があるっていうのも、この手のジャンルの醍醐味として大きい。「この先こういう展開が来るから今のうちに手を打つ」っていう先読み行動、見てるだけで気持ちいい。しかもあらすじによるとゲームのシナリオを超えていくらしい。やり込み知識が通用しなくなった先に何があるのか、そこが気になってページをめくる手が止まらない。
あと「闇落ちまっしぐらの一家を救う」って、要は原作通りに進んだら全員闇落ちして断罪されるってことでしょ。そのバッドエンドを回避するために奔走するリッドの姿、なんかこう、月曜朝の絶望を迎え撃つ自分と重なるものがある。いやスケール全然違うけど。
見どころ②:崩壊家族のメンバーが全員気になりすぎる
まずリッド。前世の記憶を持って悪役モブの長男に転生って、冷静に考えたらかなり絶望的な状況なのに、「断罪は嫌だから真っ当に生きる」って決意するところがいい。悲壮な覚悟じゃなくて、「嫌だからやる」っていう動機のカジュアルさ。わかるよ。私だって「会議が嫌だからExcel資料を完璧にして質問を潰す」とかやってるもん。動機が後ろ向きでも行動が前向きなら、それはもう立派よ。
で、気になるのが家族メンバー。冷酷な父親って、うちのタナカ課長じゃん…って一瞬思ったけど、タナカ課長は冷酷っていうより鈍感なだけだった。でも「冷酷な父」って書かれてるからには、きっと何か理由があるんだろうなと。こういう一見厳しいキャラが実は家族を思ってた、みたいな展開がもしあったら私は泣く。確実に泣く。そしてひとりぼっちの妹。この時点でもう守りたい。不治の病の母。もう全員助けたい。
あらすじだけでこれだけキャラクターに感情移入できるのすごくない?一家全員が問題を抱えてて、でもそれってつまり全員がストーリーの「伸びしろ」を持ってるってことで。リッドが一人ひとりと向き合って、家族のかたちを取り戻していく過程が、この作品の一番の核なんだろうなって思う。
私は一人暮らしで家族とはたまに電話するくらいだけど、「家族再生」っていうテーマはなんか独特の温かさがある。職場のミカ先輩が「家族ものに弱いのよね〜」って言ってたの思い出した。今度これ教えてあげようかな。
見どころ③:断罪回避のカタルシスと、家族を取り戻す温もり
この作品の魅力って、「ざまぁ」とか「無双」とは違う種類のカタルシスがあるところだと思う。敵を倒してスカッとするんじゃなくて、「運命に決められたバッドエンドをひっくり返す」っていう逆転劇。しかもそれが家族単位。一家断罪っていう最悪のシナリオを、知恵と行動で回避していく。この「理不尽な運命への抵抗」感、たまらない。
だって現実でも理不尽なことばっかりじゃないですか。急に降ってくる仕事、意味不明な方針変更、「前からそう決まってたから」って言われる理不尽。でも私たちにはゲームの攻略知識なんてないから、ただ受け入れるしかない。リッドはやり込み知識があるから先手を打てる。その「知っているからこそ戦える」っていう構図が、読んでて純粋に気持ちいい。
そして何より、「家族を再生する」っていう温かいゴールが設定されてるのが、このジャンルの中では珍しいし、私みたいな疲れた人間には沁みる。異世界チートで最強になるのもいいけど、壊れかけた家族を繋ぎ直すっていう、もっと身近な願いに全力で挑む主人公を見ていると、なんかこう、自分の日常のちっちゃな頑張りも肯定してもらえるような気がするのよ。
…まあ明日の朝にはまた「あぁ会社行きたくない」って布団から出られなくなるんだけどね。でもこういうマンガを読んだ翌朝は、ほんの少しだけ足取りが軽い。ほんの少しだけ。
見どころ④:「真っ当に生きたいだけなのに」が刺さりすぎて痛い
タイトルの「真っ当に生きます」って言葉、社畜に刺さりすぎじゃない?私だって真っ当に生きたいだけなのよ。定時に帰りたい。有給を気兼ねなく使いたい。昼休みにちゃんと1時間休みたい。でも現実は「ちょっとこれ急ぎなんだけど」って16時に振られる仕事と、「みんな頑張ってるから」っていう同調圧力。真っ当に生きるのって、異世界でも現実でも大変なんだなぁ。
リッドはゲーム知識っていう「チート」があるからまだいいよね。私もExcelの知識だけは無駄にあるけど、それで断罪回避はできない。せいぜいタナカ課長の「この数字おかしくない?」攻撃を事前に防御できるくらいだ。あ、でもそれもある意味「やり込み知識で断罪回避」か?いやいや、規模が違いすぎる。
あと「崩壊寸前の家族を立て直す」って、ちょっと「崩壊寸前の部署を立て直す」に通じるものがある気がして。うちの部署、ユナちゃんが異動してきてからちょっとマシになったけど、あの子がいなかったらマジでどうなってたか。リッドみたいに問題を一個ずつ解決していける行動力、現実にも欲しい。まあ私は布団の中でマンガ読むことしかできないんですけどね。
ユウの本音まとめ
いやー、これはいい意味で予想を裏切られた。タイトルだけ見たときは「また長いタイトルの異世界転生か〜」って正直ちょっとナメてた。でもあらすじ読んで、実際にページめくり始めたら、これがもう全然「よくある話」じゃなかった。悪役モブっていう絶妙な立ち位置、崩壊家族っていうリアルな問題設定、そしてそれを乙女ゲームの知識で解決していくっていう構造。この組み合わせが独特で新鮮で、気づいたら飲み会断った判断を心の底から肯定してた。
ネット小説大賞受賞作っていうのも納得。あらすじの時点で「家族の問題が山積み→一つずつ解決→やがてゲームのシナリオを超える」っていう流れが見えるから、読み進めるのが楽しみでしかない。こういう「先が気になる」マンガとの出会いがあるから、私はまだ電子マンガアプリに課金し続けるんだと思う。
明日も会社に行かなきゃいけないし、タナカ課長の顔も見なきゃいけない。でもリッドが崩壊家族を立て直すために走り回ってる姿を思い出したら、私もまあ、もうちょっとだけ頑張れるかなって。…いや頑張るとは言ってない。ただ、出社はする。出社だけは。

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