給料日前のカップ麺を啜りながら、スマホの電子書籍アプリを開いた夜のこと。塩分が胃に染みる。今月もあと一週間、財布の中身は心もとないけど、電子マンガのポイントだけはなぜか潤沢に残っている。こういうところだけは計画的なんだよな、私。味気ないカップ麺をすすりつつ、おすすめ欄をスクロールしていたら目に飛び込んできたのが「ふかふかダンジョン攻略記」というタイトルだった。ふかふか。ダンジョン。この二つの単語が同居してるの、冷静に考えたらおかしいんだけど、逆にめちゃくちゃ気になる。
あらすじを読んでみたら「元・派遣社員が異世界転生してダンジョン攻略」って書いてある。派遣社員。その五文字に一気に親近感が湧いた。私は正社員の事務職だけど、雇用形態が違うだけで「社会の歯車感」は一緒だよね。しかもこの主人公、国家と軍でも攻略しきれない超巨大ダンジョンに挑むらしい。元派遣が。いや、現実で積み上げた理不尽への耐性が異世界で活きるパターンか? なんかもう、カップ麺の汁を飲み干す頃には第1話を開いていた。
そこからはお決まりの「止まらない」やつ。ページをめくるたびに「もう寝なきゃ」と思うのに指が勝手に次のページをタップしてる。気づいたら深夜2時。明日の始業時間は変わらないのに。でもいいの、こういう夜があるから平日を耐えられるんだから。
今日のユウのため息 ── 理不尽なクレーム対応 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── ふかふかダンジョン攻略記〜俺の異世界転生冒険譚〜

| 作品名 | ふかふかダンジョン攻略記〜俺の異世界転生冒険譚〜 |
|---|---|
| 作者 | KAKERU |
| シリーズ | ふかふかダンジョン攻略記〜俺の異世界転生冒険譚〜 |
| ジャンル | ファンタジー, 異世界系, DMMブックス限定特典付き, お色気 |
要するにこういう話だ。主人公のジャンは、元々は普通の派遣社員だったのが、ひょんなことから異世界に転生する。そして転生先で待ち受けているのが「深き不可知の迷宮」、通称「ふかふかダンジョン」。名前だけ聞くとクッションみたいで柔らかそうだけど、実態は複数の国家と軍が束になっても攻略しきれない最強最悪の超巨大ダンジョンらしい。ふかふか要素ゼロじゃん。
つまり、「普通の元派遣社員が、誰も攻略できなかった最凶ダンジョンに挑む」という話。この手の異世界転生ものって、前世のスペックが低ければ低いほど転生後のギャップが映えるのが鉄板なんだけど、「派遣社員」というチョイスが絶妙すぎる。正社員でもなくフリーターでもなく、派遣。社会の仕組みに翻弄されてきた感がにじみ出てるのがリアルで良い。作者のKAKERU先生は『魔法少女プリティ☆ベル』の方らしく、「異世界転生を転生させる」なんて大きく出てるあたり、ただの王道じゃなさそうな予感がビンビンする。
見どころ①:「ふかふか」の名を持つ地獄のダンジョン、この設定だけで夜更かしが止まらない
まず何がいいって、ダンジョンの設定だ。「深き不可知の迷宮」って正式名称がもう不穏すぎる。「不可知」だよ? 知ることすらできない。それを略して「ふかふか」って呼んでるセンス、天才じゃない? 名前の可愛さと実態の凶悪さのギャップがもう最高。私の職場だって、求人票には「アットホームな職場です♪」って書いてあったのに実態は……いや、やめよう。ダンジョンの話に戻ろう。
国家と軍が総力を挙げても攻略できないダンジョンって、スケールが桁違いすぎて逆に清々しい。この手のダンジョンものの醍醐味って、「人類の叡智を結集しても歯が立たない相手に、一人の冒険者がどう立ち向かうのか」ってところだと思うんだけど、そこに「元派遣社員」を放り込むあたりが面白い。普通に考えたら無理ゲーなんだけど、異世界転生ってそういう無理ゲーを覆すためにあるジャンルだから。たぶん転生によって何かしらの力を手にしてるんだろうけど、あらすじを読む限り「超王道ファンタジー」を謳ってるので、チート一辺倒じゃなくてちゃんと冒険してくれそうな期待感がある。
それと、「異世界転生を転生させる」っていうキャッチコピーがずっと引っかかってる。王道を名乗りつつ、既存の転生ものとは一味違うぞっていう宣言だと思うんだけど、こういう気概のある作品って裏切られたことがあんまりない。少なくとも序盤からそういう意志を感じるだけで、読むモチベーションが全然違う。深夜のテンションで読み始めたのに、気づいたらちゃんと没入させてくれる。そういう作品って、疲れた夜にこそ出会いたいやつなんだよな。
あと個人的に、ダンジョン攻略ものって「今自分がどの階層にいて、どこまで進んだか」っていう進捗が見えるのがいい。仕事だと自分がどこに向かってるのか全然わからないのに、ダンジョンには必ずゴールがある。その違いだけで救われる。
見どころ②:元派遣社員ジャン、お前は私だ
主人公のジャン。あらすじによれば「一介の元・派遣社員」。この肩書きが持つ破壊力よ。異世界転生の主人公って「元サラリーマン」「元高校生」が多い中で、わざわざ「派遣社員」と明記してくるところに作者の意図を感じる。派遣って、能力があっても評価されにくくて、契約更新のたびに胃が痛くて、正社員との見えない壁を感じながら働く存在でしょう。そういう前世を背負った主人公が最強ダンジョンに挑むって、もうそれだけでめちゃくちゃ応援したくなる。
私は派遣じゃなくて正社員の事務職だけど、「社会の中で透明人間みたいに扱われる感覚」は分かる気がする。タナカ課長に書類を出しても「ああ」の一言で終わるし、ミカ先輩は私の仕事を「誰でもできるやつ」って言うし。だからジャンが異世界で自分の力で道を切り拓いていく展開があるんだとしたら(この手のジャンルならたぶんあるでしょ)、それはもう代理戦争というか、私の代わりに戦ってくれてるようなもの。頼むぞジャン。
あと、お色気ジャンルも入ってるらしいので、魅力的な女性キャラクターも登場するんだろうな。ダンジョン攻略系って仲間との絆も大事な要素だし、ジャンの周りにどんなキャラが集まってくるのか気になる。KAKERUさんの作品って、キャラクターに一筋縄ではいかない個性を持たせてくる印象があるから、ただの添え物みたいなキャラにはならなさそう。パーティメンバーとかいたら、それぞれの過去や動機も気になるところ。
結局、「こいつの人生を見届けたい」と思えるかどうかがマンガの肝だと思うんだけど、ジャンに関しては「派遣社員」の三文字でもう見届ける気満々になってしまった。同じ社会の底で踏ん張ってきた者として。
見どころ③:ダンジョンを一層ずつ攻略する快感、これが本物のレベルアップだ
この作品の一番の魅力は、やっぱり「ダンジョン攻略」の爽快感にあると思う。誰も攻略できなかった超巨大ダンジョンを、元派遣社員が踏破していく。想像しただけでアドレナリンが出る。仕事で溜まったストレスって、「困難を乗り越える快感」で相殺できるタイプのやつがあって、ダンジョン攻略ものはまさにそれを供給してくれるジャンルだと思ってる。
一層一層、未知のフロアに踏み込んで、そこでしか出会えないモンスターやトラップと対峙して、時には追い詰められながらも突破していく。そのたびに主人公が強くなって、見える景色が変わっていく。こういう「着実に進んでいる感覚」が、現実では全然味わえないから余計に刺さるんだよな。私なんて今年一年で進んだ気がするの、Excelの新しいショートカットを3つ覚えたくらいだよ。ジャンはダンジョンの新階層を踏破してるのに。
しかも「超王道ファンタジー」を掲げてるから、バトルの見せ方も王道にかっこいいんだろうなと期待してる。KAKERU先生は長期連載の経験がある方だし、バトルの緩急とか、ピンチからの逆転とか、読者の感情を揺さぶる構成は手慣れてそう。……とか言いながら、結局読み終わったら布団の中の自分に戻るんだけどね。スマホの画面を閉じたら、目の前にあるのは明日の出勤時間だけ。でもいい。ダンジョンの階層を一つ降りるように、私も明日の一日を一つ乗り越えるだけだ。たぶん。
見どころ④:派遣から冒険者へ、このキャリアチェンジを見届けたい全社畜へ
「元・派遣社員が異世界で冒険者になる」って、冷静に考えたら究極のキャリアチェンジだよね。転職サイトに載ってたら絶対クリックするやつ。「未経験歓迎、異世界での冒険者業務、ダンジョン攻略あり、社会保険なし」みたいな。タナカ課長の決裁を待つ人生か、自分の力でダンジョンを切り拓く人生か。比べるまでもない。
私が特にグッときたのは、「ひょんなことから転生した」ってところ。自分の意志でキャリアチェンジしたわけじゃなくて、気づいたら異世界にいた。でもそこで腐らずにダンジョン攻略に挑むっていうのが、なんかこう、「与えられた環境でやるしかない」っていう社会人の根性を感じる。私たちだって好きでこの部署に配属されたわけじゃないけど、目の前の仕事はやるしかないもんね。ジャンの場合、目の前にあるのが書類じゃなくてダンジョンなだけで。
同じように毎日を耐えてる社畜の皆さん、これ深夜に読むとめちゃくちゃ効きます。カップ麺でもストゼロでも何でもいいから供え物を用意して、寝る前の30分だけ異世界の冒険者になってほしい。明日の朝はまた現実のダンジョン(オフィス)に潜ることになるけど、少なくとも今夜だけは、私たちにもダンジョンを攻略する力がある。
ユウの本音まとめ
正直、「ふかふかダンジョン攻略記」を見つけたのは本当にたまたまだった。給料日前の寂しい夜に、おすすめ欄に出てきたタイトルのインパクトに引っ張られただけ。でもこういう出会い方こそが電子マンガの醍醐味だと思うし、実際に読み始めたら止まらなくなったんだから、私のスマホのアルゴリズムを褒めてあげたい。元派遣社員が最凶ダンジョンに挑むっていう設定の引力、KAKERU先生の「異世界転生を転生させる」という宣言の力強さ、そして何より「ふかふか」というタイトルの裏に潜むハードな世界観のギャップ。全部が噛み合って、深夜のテンションにぴったりハマった。
次の巻が気になりすぎて、もう明日の通勤電車で続きを読む気満々でいる。始業前にダンジョンの続きが気になって仕事が手につかなかったらどうしよう、とか思うけど、まあいつも手についてないからいいか。現実のダンジョン(弊社のオフィス)には倒すべきモンスター(月末の締め作業)が待ってるけど、ジャンが「ふかふかダンジョン」を攻略してくれてる間は、私も自分のダンジョンを頑張れる気がする。こういうマンガがあるから、明日もなんとか会社に行ける。たぶん。


コメント