残業後、終電間際の電車で何気なくスマホを開いた。今日はタナカ課長の「この資料、明日の朝までに直しといて」爆弾が定時5分前に投下されて、もう精神がぺらっぺらだった。電車の中で立ったままぼんやり画面を見つめてたら、おすすめ欄に出てきたのが『救世主《メシア》〜異世界を救った元勇者が魔物のあふれる現実世界を無双する〜』。タイトル長いな。でも「異世界を救った元勇者が現実世界を無双する」って、その文字列だけでもう心が持っていかれた。異世界を救ったのに現実世界でも無双するの? 贅沢すぎないか。私なんて現実世界の事務処理すら無双できてないのに。
なんとなく1話だけ、と思って読み始めたら最後。気づいたら乗り過ごしてた。本当に乗り過ごしてた。終電なのに。タクシー代が脳裏をよぎったけど、それでもスマホから手が離せなかった自分がいる。あらすじの時点で「処刑された元勇者」とかいうパワーワードが出てくるし、しかもそれが現実世界で高校生として目覚めるとか、設定の詰め込み方がすごい。帰宅して風呂も入らずベッドに潜り込んで、そのまま読み進めてしまった。翌朝の私のことなんて知らない。今この瞬間の私が幸せならそれでいい。
今日のユウのため息 ── 季節の変わり目の体調崩壊 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 救世主《メシア》〜異世界を救った元勇者が魔物のあふれる現実世界を無双する〜

| 作品名 | 救世主《メシア》〜異世界を救った元勇者が魔物のあふれる現実世界を無双する〜 |
|---|---|
| 作者 | 平成オワリ, 原田絵理 |
| シリーズ | 救世主《メシア》〜異世界を救った元勇者が魔物のあふれる現実世界を無双する〜 |
| ジャンル | 異世界系, ファンタジー, 集英社創業100周年記念 |
要するにこういう話。主人公の大和猛は、異世界に《救世主(メシア)》として召喚されて、世界を救うぐらい強かったのに、「強すぎて危険」って判断されて処刑されちゃう。……いや、理不尽すぎない? 救ったのに殺されるって。私だって毎日会社救ってる気持ちでいるけど、感謝されないどころか仕事増やされるし、気持ちわかるわ。規模は全然違うけど。
で、処刑された後に元の日本で高校生・草薙尊として目覚めるんだけど、その日本がまた大変なことになってて。’ゲート’から魔物があふれ出してて、ハンターと呼ばれる人たちが魔術で戦ってる世界。つまり異世界で鍛え上げた最強の力を持ったまま、魔物がうろつく現実世界に戻ってきちゃったわけ。一言でまとめると「異世界で最強になった元勇者が、魔物だらけの現代日本で力を隠しつつも無双しちゃう話」。力を隠して学校生活を送ろうとするけどトラブルに巻き込まれるって、あらすじだけでもう面白い予感しかしない。
見どころ①:「処刑された勇者」という設定だけでごはん3杯いける
この作品の設定、冷静に考えるとめちゃくちゃ美味しい。だって普通の異世界無双ものって「召喚されてチート能力もらって無双する」でしょ。でもこの作品、もうその無双パートは終わってるところからスタートするのよ。しかも「世界を救ったのに処刑された」っていう、これ以上ない理不尽を経験済み。あらすじ読む限り、主人公はすでに一度最強を経験して、裏切られて、殺されてるわけで。その上で現実世界に戻ってくるって、もう背負ってるものが違う。
しかも戻ってきた先の日本がただの平和な日本じゃなくて、ゲートから魔物が出てくる世界になってるのがまた良い。完全に安全な場所に帰ってきたんじゃなくて、ここでもまた戦わなきゃいけない状況。でも今度は異世界で鍛え上げた力がある。この「二重構造」がたまらない。異世界パートと現実世界パートが設定として重なってるから、ただの俺TUEEE系とは一味違う深みがありそうなのよ。
そして「力を隠して学校生活を送ろうとする」っていう、この手のジャンルの王道中の王道。でも王道だからこそハズレがないんだよね。実力を隠してる主人公が、やむを得ず力を見せるあの瞬間のカタルシス。この手の展開に何度やられてきたかわからないけど、何度でもやられる。だって現実じゃ隠すほどの実力なんて持ってないもん。隠す必要すらない凡人だから、こういう設定にひたすら憧れるんだわ。
あとハンターっていう戦闘者の存在も気になる。魔術を使って戦うハンターたちの中に、異世界帰りの規格外が紛れ込むわけでしょ。この手のジャンルって、周囲の「え、何この人…」みたいなリアクションが最高に美味しいんだよね。あらすじから察するにそういう展開がたっぷりありそうで、想像するだけでニヤニヤする。
見どころ②:裏切られてなお戦う男、草薙尊に私の心が救われる
主人公の草薙尊(大和猛)、あらすじだけでもう好きになってる。異世界を救うほどの力を持ちながら、その力のせいで処刑されるって、どれだけ報われない人生なのか。しかもそれでも現実世界で普通の学校生活を送ろうとするところに、なんていうか……人間としての強さを感じる。力の強さじゃなくて、精神の強さ。私なんか会社で理不尽なこと言われたら3日くらい引きずるのに、処刑されても前を向けるの? すごいよ。
力を隠そうとしてるのに次々トラブルに巻き込まれるっていうのも、なんか愛おしい。本人は静かに生きたいだけなのにね。この手のジャンルだと、主人公の周りに集まってくるキャラクターたちとの関係性も醍醐味だと思う。ハンターの仲間とか、学校のクラスメイトとか、最初は主人公を見くびってたのにだんだん認めていく……みたいな展開があるとしたら、それだけでもう美味しい。タナカ課長にも見習ってほしい、人を正当に評価するということを。
あと、異世界で主人公を処刑した側の人間たち。あらすじに「その強さゆえに危険と判断され」って書いてあるけど、これがまた刺さるのよ。有能すぎて疎まれるとか、力があるから排除されるとか、現実にもあるじゃん。まあ私は有能すぎて疎まれた経験はないけど。ないけど、こういう理不尽に怒りを覚える気持ちはわかる。だからこそ、その理不尽を乗り越えて新しい場所で力を振るう主人公を応援したくなるんだと思う。
見どころ③:圧倒的な力で蹂躙する爽快感、これが私の精神安定剤
この作品の最大の魅力は、間違いなく「爽快感」だと思う。異世界で最強だった勇者が、現実世界のハンターたちの中に放り込まれる。つまり次元が違う強さで無双するわけでしょ。ゲートから出てくる魔物をバッタバッタと倒していく描写があるとしたら、それだけで脳から何かいい物質が出る。仕事で溜まったストレスが、主人公の無双シーンで浄化されていく感覚。これを求めて深夜にスマホをスクロールしてるんだわ、私は。
特に「力を隠している」設定が爽快感を倍増させるのよ。普段は目立たないようにしてるのに、いざという時に本気を出す。周囲が「え、何……?」って驚愕する。あの瞬間の快感。これは実力を隠す必要がないほど平凡な私だからこそ、余計に刺さる。会議で黙って座ってる私が突然プレゼンで無双する……みたいな妄想をしたことがないと言えば嘘になる。現実にはそんなこと起こらないけど、マンガの中では起こるから。
でもさ、どれだけ爽快な無双を読んでも、スマホの画面を閉じたら明日の出勤が待ってるんだよね。主人公は魔物を倒せるけど、私はExcelの関数エラーすら倒せない。それが現実。でもいいの。この一瞬の爽快感があれば、明日も生きていける。フィクションってそういうもんでしょ。
見どころ④:「強すぎて排除される」って、それ会社でもあるやつじゃん
「その強さゆえに危険と判断され処刑された」。この一文を読んだ時、私は思わずスマホを握りしめた。規模は全然違うけど、有能な人が組織から排除されるって現実でもあるのよ。うちの部署にいた優秀な先輩が、上と合わなくて異動させられた時のこと思い出した。救世主を処刑する異世界と、有能な人材を潰す日本企業、根本は同じなんじゃないかって思っちゃう。
主人公が力を隠して学校生活を送ろうとするところも、社畜的にはグッとくる。本当の実力を見せたら面倒なことになるから黙っておく、みたいな処世術。私もExcelのマクロちょっとだけ組めるけど、それをタナカ課長に言ったら絶対「じゃあこれもよろしく」って仕事増えるから黙ってる。力を隠すって、生存戦略なんだよね。でも主人公はトラブルに巻き込まれて結局力を使うことになるわけで、そのやむを得なさもリアルで好き。
同じように日々を戦ってる社畜のみんな、このマンガ読んでくれ。少なくとも「理不尽に耐えてるのは自分だけじゃない」って思える。主人公は処刑されても立ち上がったんだから、私も月曜の朝くらい立ち上がれるはず。たぶん。
ユウの本音まとめ
あらすじを読んだ時点でもう「これは当たりだ」って直感した。異世界を救ったのに処刑されるっていう理不尽な過去と、魔物があふれる現実世界で再び戦うっていう二重構造。この設定だけでお腹いっぱいなのに、「力を隠す学園生活」「巻き込まれ型のトラブル」「ハンターとの関係性」って、美味しい要素がこれでもかと詰め込まれてる。タイトルが長いマンガにハズレなし、は私の持論なんだけど、この作品もその法則に当てはまりそう。
正直、終電を乗り過ごしたのは痛かった。タクシー代が財布に効いた。でも後悔はしてない。だってあの時スマホを閉じてたら、今頃この作品に出会えてなかったかもしれない。現実は相変わらずタナカ課長の無茶振りと終わらない残業でできてるけど、帰り道にこのマンガの続きが待ってると思えば、なんとか乗り越えられる。処刑されても立ち上がった主人公に比べたら、私の苦労なんて大したことないし。……いや、大したことあるわ。でもまあ、このマンガがあるから明日も会社行く。それでいい。


コメント