飲み会を断って帰ってきた夜だった。「ユウちゃんも来なよ〜」ってミカ先輩に言われたけど、今日はもう無理。朝からExcelの数字が合わなくて、タナカ課長に「もう一回確認して」を3回言われて、昼休みもろくに取れなくて、もう人間と喋る気力がゼロだった。風呂に入って、髪も乾かさないままベッドに倒れ込んで、スマホの画面をぼんやり眺めてたら、電子書籍アプリのおすすめ欄にとんでもないタイトルが飛び込んできた。「科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」。……なに、この情報量。
いや待って、「科学的に存在しうる」って何? クリーチャー娘って何? 観察日誌って何? タイトルだけで脳みそが3回くらい混乱した。普段私が読んでるほのぼの系とは明らかに毛色が違う。でもなんだろう、このタイトルの「科学的に」の部分が妙に引っかかって、気づいたらサンプルを開いていた。そしたらもう駄目だった。なんだこの世界観。なんだこの切り口。結局その日は飲み会を断った正解を噛みしめながら、深夜2時まで読み続けてしまった。髪、乾かしてなかったのに。
今日のユウのため息 ── 責任逃れの上司タナカ課長 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌

| 作品名 | 科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌 |
|---|---|
| 作者 | KAKERU |
| シリーズ | 科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌 |
| ジャンル | ファンタジー, 異世界系 |
要するにこういう話だ。主人公の栗結大輔が突然異世界に飛ばされるんだけど、そこにいるのはケンタウロスとかアラクネとかハルピュイアとか、いわゆるモンスター娘たち。ここまでは「あー、はいはい、異世界ハーレムね」ってなるんだけど、この作品の異常なところは「科学的に」って部分。魔法なし。チートなし。しかもマニアックな縛りプレイまであるらしい。異世界に行ったのに無双できないってどういうこと?
で、その「微妙にリアル」な世界で様々な問題を知恵で解決しながら、クリーチャー娘たちと結ばれて一夫多妻ハーレム生活を築いていくという。一行でまとめると「普通の男が、チートなしの異世界で科学知識と頭脳だけを武器にモンスター美少女を嫁にしていく話」。ずるいでしょ、この設定。知的好奇心とオタク的願望を同時に満たしてくるやつ。
見どころ①:「科学的に存在しうる」って縛り、天才すぎない?
異世界モノって、だいたい「チートスキルもらいました! 無双します!」がテンプレじゃないですか。いや、私もそういうの大好きだけど。でもこの作品、あらすじを読む限り、魔法もチートもない。主人公が持ってるのは、おそらく現代の科学知識とか生物学的な知見。ケンタウロスやアラクネが「科学的に存在しうる」形で描かれてるってことは、生態とか身体構造とかをガチで考察してるってことでしょ。それ、もう学術論文じゃん。
この「縛りプレイ」が逆に物語を面白くしてるんだと思う。チートで何でも解決できちゃうと、正直途中で飽きることもある。でもチートがないなら、主人公は頭を使うしかない。知恵と工夫で問題を解決していくって、考えてみたら現実の私たちと同じなんだよね。いや、私の場合はExcelのVLOOKUPで四苦八苦してるレベルだけど。それでも「与えられたものでなんとかする」っていうのは、なんか刺さる。
あと、タイトルに「観察日誌」ってついてるのがまたいい。主人公がクリーチャー娘たちの生態を「観察」してるってことは、この世界を理解しようとする姿勢が描かれてるわけで。異世界に行っても「俺TUEEE」じゃなくて「この世界を知りたい」っていうスタンスなの、知的で好感が持てる。いや、結局嫁を増やしてハーレム築いてるんだから下心はバリバリあるんだろうけど。でもそこがいいんだよ。欲望に正直だけど頭は使うっていう、このバランス。
この手のジャンルにありがちな「なんでもアリ」じゃなくて、ちゃんとルールがある世界だからこそ、その中での工夫が映える。私が仕事で「予算ないけどなんとかして」って言われてるのと本質は同じなのかもしれない。……いや、同じにしないでほしいけど。
見どころ②:種族が違いすぎるヒロインたちに混乱する脳内会議
ケンタウロス、アラクネ、ハルピュイア。下半身が馬、蜘蛛、鳥。……いや、ヒロインの振り幅が広すぎる。普通のラブコメだったら「幼なじみ」「ツンデレ」「お嬢様」とかで分類するのに、この作品は「哺乳類系」「節足動物系」「鳥類系」で分類してくるわけ。もうカテゴリーの概念がバグってる。でも、あらすじの雰囲気からして全員ちゃんと美少女なんでしょ。そこは信用してる。
主人公の栗結大輔、あらすじを読む限りだとかなり冷静な人間っぽい。異世界に飛ばされてパニックにならず、クリーチャー娘たちの生態を観察して、問題を「スマートに解決」するってあるから、頭の回転が速いタイプなんだろうな。私の職場にもこういう人いてほしい。タナカ課長、問題をスマートに解決するどころか、問題を増やすタイプだから。「これも追加でよろしく」じゃないのよ。
一夫多妻っていう設定も、この作品だと妙に説得力がありそうなのが怖い。だって相手は人間じゃなくてクリーチャーだから、人間社会の倫理観がそのまま適用されるわけないし。異種族との共存って、文化も価値観も身体構造も全部違うわけで、そこを「科学的に」すり合わせていくっていうのは、もうそれだけで読み応えがあると思う。
結局、種族が違うっていうのは究極の「価値観の違い」なわけで。私だって職場で「なんでこの人はこういう考え方するの?」って思うこと毎日あるけど、相手が蜘蛛の下半身持ってたらもう考え方の違いどころの話じゃない。でもそこを乗り越えて嫁にしちゃう主人公、すごいよ。私は同じ種族の人間とのコミュニケーションすら疲れてるのに。
見どころ③:ファンタジーなのにリアル、そのギャップがクセになる
この作品の一番の魅力って、たぶん「ファンタジーなのに妙にリアル」っていうギャップだと思う。異世界に行ったら魔法でなんでもできるっていう夢を見たいのに、「いやいや、科学的にはこうでしょ」って冷や水をかけてくる。でもそれが逆に面白い。現実逃避したいのにリアルが追いかけてくる感じ、なんか私の人生みたい。有給取ったのに仕事のメール見ちゃう、あの感覚に近い。
でもだからこそ、この世界に本当に行けそうな気がしてくるのかもしれない。完全なファンタジーだと「所詮フィクションだし」って割り切れるけど、「科学的に存在しうる」って言われちゃうと「ワンチャンあるのでは?」って思っちゃうじゃん。深夜2時のテンションだと特に。ケンタウロスの骨格構造とか、アラクネの糸の強度とか、たぶんそういうの考察されてるんだろうなって思うと、変な説得力がある。
それと、ハーレムものとしての欲望にも正直なのがいい。「科学的」って知的な看板を掲げながら、やることはしっかりモンスター美少女とのラブコメ。この「知性と欲望の共存」みたいなのが、深夜テンションの疲れた脳にちょうどいい刺激なんだわ。
……まあ、どれだけ異世界の妄想を膨らませたところで、明日の朝はアラームに叩き起こされて通勤電車に揺られるんだけどね。クリーチャー娘の嫁は現実にはいないし、私の目の前にいるのはタナカ課長だし。でも、それでいいんだ。読んでる間だけは「もしこの世界が本当にあったら」って考えられるから。
見どころ④:チートなしで問題解決、それって私たちじゃん
この作品の主人公、チートスキルをもらえなかったわけでしょ。それなのに異世界でやっていかなきゃいけない。……それ、私たちの毎日と同じじゃない? 特別なスキルなんてない、魔法みたいなショートカットもない、でも目の前の仕事はなんとかしなきゃいけない。違うのは、主人公の相手がクリーチャー娘で、私の相手がExcelの数式と不機嫌なタナカ課長ってだけ。
「与えられた条件の中で最善を尽くす」って、言葉にするとかっこいいけど、実際やってると地味でしんどい。でもこの作品だと、それがちゃんとエンタメになってる。主人公が知恵を絞って問題を解決するたびに、「頭を使うことってかっこいいんだ」って思い出させてくれる気がする。私も明日VLOOKUPじゃなくてINDEX MATCHを使ってみようかな。……いや、それは関係ないか。
ミカ先輩にこの作品の話したら「ユウちゃん、そういうの読むんだ……」って引かれそうだけど、知的好奇心って大事だと思うんだよね。少なくとも飲み会で愚痴言い合うよりは、異世界のクリーチャーの生態に思いを馳せてる方が、脳みそにとっては健康的だと信じたい。
ユウの本音まとめ
正直に言うと、普段の私の守備範囲からはだいぶ外れた作品だった。恋愛とかほのぼの系ばっかり読んでる私が、ケンタウロスとかアラクネとか言い出すとは思わなかった。でも、あらすじを読んだ時点で「これは面白いやつだ」っていう直感があったし、その直感は間違ってなかったと思う。「科学的に存在しうる」っていう切り口が、他のどの異世界モノとも違う独自の空気を作ってる。
チートがないからこそ主人公の工夫が光る、リアルだからこそファンタジーが際立つ。このバランス感覚が絶妙で、読んでいて「へー」と「おお」が交互に来る。しかもちゃんと美少女とのラブコメしてるから、頭だけじゃなくて心もちゃんと満たされる。知性と欲望の二刀流。なんだその最強の組み合わせ。
飲み会断ってまで読んだ価値はあった。次の巻が出たら、たぶんまた飲み会を断ると思う。ミカ先輩ごめん。でも、こういうマンガに出会えた夜があるから、明日もなんとか会社に行ける。クリーチャー娘の嫁はいないけど、電子書籍アプリという名の異世界への扉は、いつでも私のスマホの中にある。


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