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【深夜の現実逃避】『辺境の老騎士 バルド・ローエン』が沁みすぎて月曜が怖くなくなった話

日曜の夜、明日の仕事を考えたくなくて、布団に潜り込んでスマホをいじっていた。SNSを開いても月曜への恐怖が増すだけだし、YouTubeは気づいたら2時間溶けるし、もうマンガしかないんだよな。電子書籍アプリのおすすめ欄をぼーっとスクロールしていたら、目に留まったのがこの作品だった。「辺境の老騎士」。老騎士。……老騎士? 異世界ものって大体10代の少年少女か、転生したばかりの若者が主人公じゃないの? 老騎士って何? おじいちゃんが主人公?

気になってあらすじを読んだ。「金も名誉も捨てて、死にゆくための旅に出た」。……え、重くない? 日曜の夜にこの重さ、大丈夫? と思いつつ、「ひとりぼっちで美味しいご飯に舌鼓を打ち」という一文に引っかかった。ご飯。美味しいご飯。それだけで読む理由になるのが今の私のメンタルだった。

で、読み始めたら止まらなくなった。気づいたら深夜2時を回っていて、明日6時半起きなのに。でもページをめくる手が止められない。老騎士バルドが淡々と旅をして、淡々とご飯を食べて、淡々と景色を眺めている。それだけなのに、なんでこんなに胸に来るんだろう。日曜の夜の憂鬱が、いつの間にかどこかに行っていた。

今日のユウのため息 ── 責任逃れの上司タナカ課長 ──

限界OLユウ - 責任逃れの上司タナカ課長

今日、タナカ課長がやってくれましたよ。取引先への見積もりの件で、課長が「その金額でいいよ」って口頭で了承したから私がそのまま先方に送ったのに、先方から「高い」ってクレーム来た途端、「え、俺そんなこと言った?ユウさんが自分で判断したんじゃない?」って。いやいやいや。あの日、わざわざ席まで行って確認したの私ですけど?隣の席のスズキさんもちょっと固まってたし、みんな聞いてたと思うんだけどな。結局、私が先方に謝罪のメール打って、修正見積もり作り直して、についでに始末書みたいな経緯報告書まで書かされた。課長は「まあ、次から気をつけてね」って言って定時で帰っていった。あの背中、一生忘れないと思う。

なんかもう、怒りを通り越して体に来てる。夕方あたりからずっと肩の付け根がガチガチで、首を右に向けるだけでピキッてなる。たぶんあの経緯報告書を作ってる間、ずっと歯を食いしばってたんだと思う。帰りの電車で吊り革持つ腕もだるくて、スマホ持ち上げるのすら地味にしんどかった。責任って、取らない人のところからは勝手に流れ落ちて、下にいる人間の肩に全部積もるようにできてるんだろうな。物理的に。

…まあいいや。今日はもう何も考えたくないし、布団にもぐってマンガ読も。甘々なやつ。誰も責任とか言い出さないやつ。

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。

作品情報 ── 辺境の老騎士 バルド・ローエン

辺境の老騎士 バルド・ローエン
作品名辺境の老騎士 バルド・ローエン
作者菊石森生, 支援BIS
シリーズ辺境の老騎士 バルド・ローエン
ジャンルファンタジー, SF, 異世界系

要するにこういう話だ。長年騎士として仕えてきた老騎士バルド・ローエンが、金も名誉も全部捨てて、ひとりで旅に出る。しかもその目的が「死に場所を探す」こと。重い。重いんだけど、暗くない。ひとりで美味しいものを食べて、見たことない景色に感動して、静かに旅を続けていく。

普通の異世界ファンタジーだと「最強スキルで無双!」とか「追放されたけど実は最強でした!」みたいなパターンが多いけど、この作品は全然違う。人生の終わりを見据えた老人が、最後の旅に出る話。……なのに、あらすじを読む限り、その旅がどうやら「新たな冒険の幕開け」になるらしい。辺境の大領主コエンデラ家が引き起こす争いに巻き込まれていくって書いてある。終わりだと思ったら始まりだった、ってこと。一行でまとめると、「人生の終着を探す老騎士が、最後にして最大の冒険に出会う物語」。なにそれ、ずるい。

見どころ①:「終わり」から始まる物語って、こんなに沁みるんだ

異世界ファンタジーの主人公って、だいたい何かが「始まる」ところからスタートする。転生して新しい人生が始まるとか、冒険者として旅立つとか。でもバルドは違う。人生の終わりを見据えて旅に出る。これがもう、設定の時点で刺さりすぎている。だって私たち社会人、毎日「終わり」を意識してないか? 今月の締め切り、今期の目標、今年の査定。常に何かの「終わり」に向かって走っている。でもバルドの「終わり」は、そういう義務感じゃなくて、自分で選んだ終わり方を探す旅なんだよな。

あらすじを読む限り、旅先で美味しいご飯を食べて、見慣れない景色に感嘆するシーンがあるっぽい。この「ひとりぼっちで」っていうのがまたいい。ひとりご飯って寂しいイメージがあるかもしれないけど、私に言わせれば最高の贅沢だ。誰にも気を使わず、好きなものを好きなだけ食べて、好きなタイミングで「美味しい」って思える。バルドがやってることって、ある意味、私が深夜にコンビニスイーツ食べながらマンガ読んでるのと本質的に同じなんじゃないか。……いや、スケールは全然違うけど。

そして「死に場所を探す旅がいつの間にか新たな冒険になる」っていう構造がたまらない。自分では終わりだと思っていたのに、世界はまだ新しいものを見せてくれる。コエンデラ家の争いに巻き込まれていくっていうのも、望まなくても人生って勝手に転がっていくんだなって感じがして、なんかリアルだ。この手のファンタジーで「リアル」って変な感想かもしれないけど、人生の機微みたいなものが丁寧に描かれていそうで、それが私にはたまらなく魅力的に映る。

派手なチートスキルも、チヤホヤしてくれるヒロインも、最初からあるわけじゃない(たぶん)。老騎士がひとりで歩いているだけ。なのに、この「何かが始まりそうな予感」が物語の根底にあって、読む手が止まらなくなる。静かなのに熱い、っていうのはこういうことを言うんだろうな。

見どころ②:バルド・ローエン、あなたは私の理想の上司です

バルド・ローエン。名前からしてもう渋い。あらすじから察するに、長年騎士として生きてきた人だ。金も名誉も手に入れた上でそれを捨てるって、相当な覚悟がいる。うちのタナカ課長は金も名誉もそんなにないくせにしがみついてるのに。……いや、比較しちゃダメだな。バルドはたぶん、自分の人生を自分で完結させようとしている人なんだと思う。それだけで尊敬に値する。

「ひとりぼっち」っていう言葉が繰り返し使われているのが印象的だ。ひとりぼっちで飯を食い、ひとりぼっちで景色を見る。でもそれが悲しそうじゃなくて、むしろ清々しく見えるのがすごい。私も一人暮らしで、休日はだいたいひとりだけど、バルドみたいに堂々と「ひとりぼっち」を楽しめているかっていうと微妙だ。スマホに逃げてるだけだし。バルドを見ていると、ひとりでいることの尊さみたいなものを教えてもらえる気がする。

そしてこの手のファンタジーって、主人公の周りに徐々に人が集まってくるパターンが多い。バルドも旅の中で色んな人と出会うんだろうなと想像すると、ワクワクが止まらない。コエンデラ家の争いに巻き込まれるってことは、敵も味方もいるはずで。老騎士が若い世代に何かを伝えていく展開とかあったらもう、泣くと思う。私、ミカ先輩が後輩に仕事教えてるの見るだけでちょっとウルッとくるタイプだから。

「老い」を主軸に据えたキャラクターって、異世界ものでは珍しい。若さや才能やチートではなく、年を重ねたからこそ持っている経験と覚悟で物語が進んでいく。それって、毎日同じ仕事を何年も続けてる私たちにとって、ものすごく心強いメッセージなんじゃないか。年を取ることが「衰え」じゃなくて「蓄積」だって思えるのは、バルドみたいなキャラがいるからだ。

見どころ③:ひとり旅メシ×ファンタジーという最強の癒し処方箋

この作品の唯一無二の魅力は、「旅」と「飯」の描写にあると思う。あらすじに「美味しいご飯に舌鼓を打ち」「見慣れぬ景色に感嘆する」って書いてある時点で、私のツボを的確に突いてきている。異世界の美味しいご飯ってだけでもう勝ちなのに、それを「ひとりぼっち」で味わうっていう贅沢。孤独のグルメの異世界版じゃないか。いや、もっと壮大で、もっと切ない。

旅先で知らない景色を見て「うわぁ」ってなるあの感覚、最後にいつ味わっただろう。私の日常は自宅と会社の往復で、見慣れた駅の階段と、見慣れたオフィスのデスクと、見慣れたコンビニの棚しかない。バルドが旅先で見ている景色を想像するだけで、なんだか深呼吸したくなる。ファンタジーの世界だから、現実にはない絶景とか、不思議な生き物とか、いろいろあるんだろうな。それをこの目で見たかった、とか思ってしまう。

でもね、結局この癒しは画面越しのものなんだよな。バルドの旅が終わっても私の通勤は終わらないし、バルドが食べた美味しいご飯の代わりに私が明日食べるのはコンビニのおにぎりだ。でも、それでいい。画面越しでも、バルドの旅に少しだけ同行させてもらって、知らない景色を見て、美味しそうなご飯の描写を読んで。それだけで、日曜の夜の憂鬱がちょっとだけ軽くなるなら、このマンガには十分すぎる価値がある。

見どころ④:定年後の人生を夢見る全ての社畜へ

バルドがやっていることって、究極の「退職後の自由旅行」だと思うんだよな。長年勤めた職場(騎士団? 領主のもと?)を去って、しがらみを全部捨てて、ひとりで好きなところに行く。これ、私たち会社員の夢そのものじゃないか。タナカ課長の「この資料、今日中ね」もない。ミカ先輩の「ちょっとこれ確認して」もない。ただ自分のためだけに、自分の足で歩いていく。

もちろんバルドの旅は「死に場所を探す」っていう重い動機があるし、ただの気楽な旅じゃない。でも、義務から解放されてひとりで世界を歩くっていう構図そのものが、月曜の朝を控えた社畜の心にクリティカルヒットする。「あと何年働いたら、こんなふうに自由になれるんだろう」って考えちゃう。いや、考えたら負けなんだけど。

でもこのマンガの良いところは、そこにちゃんと「新しい冒険」が待っているということ。終わりじゃなくて始まり。退職が終わりじゃなくて始まりだって思えたら、明日の月曜も、来月の締め切りも、来年の査定も、全部「旅の途中」だと思えるかもしれない。……まあ実際は思えないんだけど、せめてマンガを読んでいる間だけはそう思わせてほしい。

このマンガはこんな人に刺さるはず

  • 日曜の夜、明日の仕事を考えたくなくてスマホを握りしめている人
  • 異世界転生ものの「若い主人公」にそろそろ疲れてきた人
  • ひとりご飯の良さを知っている全ての一人暮らし勢
  • 「定年したら旅に出たい」と漠然と思っている社畜
  • 派手なチートより静かな物語が好きな人
  • 深夜に布団の中で泣けるマンガを探している人
  • 人生の折り返し地点を意識し始めた30代以上の全員

ユウの本音まとめ

正直に言う。私はこういう「派手じゃないけど深い」作品に弱い。チートで無双するのも楽しいし、追放されて見返すのもスカッとするけど、『辺境の老騎士 バルド・ローエン』はそういうのとは全然違うところに刺さってくる。人生の終盤に差しかかった老騎士が、ひとりで飯を食って、ひとりで景色を見て、ひとりで歩いていく。それだけの話なのに(もちろん争いに巻き込まれる展開もあるんだろうけど)、胸の奥がじんわり温かくなる。

こういう作品に出会えると、「まだ大丈夫だな」って思える。別に何が大丈夫なのかは自分でもよくわからないんだけど、なんかこう、人生ってまだ知らない景色があって、まだ食べたことない美味しいものがあって、まだ出会ったことない人がいるんだなって。30代の事務職OLが言うと安っぽく聞こえるかもしれないけど、本気でそう思った。

明日は月曜だ。朝6時半に起きて、満員電車に乗って、タナカ課長の顔を見て、積み上がったタスクを処理する。現実はいつも通りだ。でも、スマホの中にバルドの旅が入っている。それだけで、玄関のドアを開ける勇気がちょっとだけ湧く。老騎士にもらった勇気で、明日も会社に行く。

今日のOL格言

終わりだと思った道の先に、まだ知らない景色がある。それだけで十分。

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