飲み会を断って帰ってきた夜だった。「ユウちゃんも来なよー」ってミカ先輩に誘われたけど、今日はもう無理。朝から請求書の処理でExcelとにらめっこして、午後はタナカ課長の思いつき企画の資料作りに駆り出されて、夕方には取引先からの電話対応で精神を削られた。こんな日に居酒屋で笑える体力なんて残ってない。風呂に入って、髪をタオルで雑に拭いて、布団にダイブ。もう何もしたくない。でも寝るには早いし、明日のことは考えたくない。そんな空白の時間にスマホを開いた。
電子書籍アプリのおすすめ欄に出てきたのが『神達に拾われた男』だった。表紙にスライムがいる。かわいい。それだけで指が勝手にタップしていた。異世界転生もの、スローライフ、スライム。……なんかもう、このキーワードの並びだけで「あ、今の私に必要なやつだ」ってわかった。頭を使わなくていい、戦いでハラハラしなくていい、ただのんびりした空気に浸れるやつ。それが欲しかった。
読み始めたら案の定、止まらなくなった。気づいたら深夜1時を回っていて、明日も普通に仕事なのに全然眠くならない。いや、正確には眠いんだけど、ページをめくる手が止まらない。こういう夜があるから、私はまだ生きていけるんだと思う。
今日のユウのため息 ── 季節の変わり目の体調崩壊 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 神達に拾われた男

| 作品名 | 神達に拾われた男 |
|---|---|
| 作者 | Roy, 蘭々, りりんら, 中村基 |
| シリーズ | 神達に拾われた男 |
| ジャンル | ファンタジー, 日常, アニメ化, DMMブックス限定特典付き, 異世界系 |
要するにこういう話だ。日本で働いていた中年サラリーマン・竹林竜馬が、死後に三柱の神様に「ちょっとお願いがあるんだけど」みたいな感じで声をかけられて、子どもの姿で異世界に転生する。で、森の中で一人暮らしを始めて、魔法でテイムしたスライムたちの研究にのめり込んでいく……というお話。
ここで大事なのが、「中年サラリーマンだった」っていう前世の設定。つまり竜馬って、私たちと同じように社会の荒波に揉まれてきた人間なわけ。それが神様に拾われて、第二の人生をスローライフで謳歌するって。……泣いていいですか?「小説家になろう」発の作品らしく、まったり異世界生活がメインみたいで、スライムたちが「意外と便利に使える」っていう設定もなんか楽しそう。
一言でまとめると、「疲れ切った元サラリーマンが、異世界の森でスライムと一緒にのんびり暮らす話」。……それだけで優勝じゃない?
見どころ①:スライム研究という名の「好きなことだけやる人生」
この作品の設定で一番刺さるのが、竜馬が異世界でやっていることが「スライムの研究」だということ。バトルで最強を目指すわけでもなく、国を救う勇者になるわけでもなく、ただひたすらスライムをテイムして、その性質を調べて、活用法を考える。……それって要するに、「好きなことだけやって暮らしてる」ってことじゃん。羨ましすぎて気が狂いそう。
私が毎日やってることといえば、Excelの数字を別のExcelに転記する作業とか、誰が読むのかわからない議事録の作成とか、タナカ課長のふわっとした指示を解読するエスパー業務とか。そういう「好きかどうか以前に意味があるのかすらわからない仕事」をこなしている身からすると、「好きな研究を好きなだけやっていい」っていう竜馬の環境は、もはやファンタジーの中のファンタジーだ。
あらすじを読む限り、スライムにもいろんな種類があって、それぞれに特徴や使い道があるみたい。この手のジャンルって、主人公が試行錯誤しながら新しい発見をしていく過程がすごく面白いんだよね。誰かに急かされるわけでもなく、締め切りがあるわけでもなく、自分のペースで研究を進めていく。その「ゆるさ」が、疲れた脳にちょうどいい刺激をくれる。
しかも、森の中で一人暮らし。上司もいない、満員電車もない、「ちょっといい?」って話しかけてくる同僚もいない。人間関係のストレスがゼロの環境で好きなことだけやる。……これを読んでるとき、私の顔はたぶん相当にやけてたと思う。
見どころ②:元サラリーマン主人公、お前は私だ
竜馬の前世が「中年サラリーマン」っていう設定、これがもう致命的に刺さる。異世界転生ものの主人公って学生だったり勇者だったりすることが多いけど、この作品は違う。社会で働いて、きっといろんな理不尽を経験してきた人間が、神様に拾われて第二の人生を始めるんだ。
あらすじの「三柱の神に協力を求められ」っていう部分もいい。竜馬は自分から「転生させてください!」って頼んだわけじゃなくて、神様のほうから声をかけてくれてるんだよね。しかも「拾われた」って。……なんだろう、この表現。疲れ切って倒れてるところを拾ってもらった感じがして、妙にグッとくる。私も誰かに拾われたい。できれば神様に。無理なら宝くじでもいい。
スライムっていうパートナー選びもたまらない。ドラゴンとか狼じゃなくて、スライム。一般的には最弱モンスターの代名詞みたいなやつを、コツコツ研究して可能性を引き出していく竜馬の姿勢が好きだ。現実の仕事でもそうじゃない?与えられた環境や素材の中で、なんとか工夫してやりくりする。……まあ私の場合は工夫してもタナカ課長に「もうちょっとなんかこう、パンチが欲しいんだよね」って言われて振り出しに戻るんだけど。
この手の作品の主人公って、前世の経験や知識を活かして異世界で活躍するのが王道パターン。竜馬もきっとそうなんだろうなって思うと、「サラリーマン経験も無駄じゃなかったんだな」って、自分の仕事まで少し肯定できる気がしてくる。ほんの少しだけね。
見どころ③:スライムまみれのスローライフ、これが本当の「癒し」
この作品の一番の価値は、「癒し」だと思う。異世界転生ものって、チートで無双する爽快感とか、ざまぁ展開のカタルシスとか、いろんな楽しみ方があるけど、『神達に拾われた男』はそういうのとちょっと違う。あらすじに「まったり第二の人生を謳歌する」「異世界スローライフファンタジー」って書いてある時点で、この作品が提供してくれるのは間違いなく「癒し」だ。
森での暮らし、スライムとの日々、自分のペースで過ごす時間。読んでいると、まるで自分も深い森の中にいるような気持ちになれる。私の部屋は駅徒歩8分のワンルームで、窓を開ければ隣のマンションの壁しか見えないけど、スマホの中には無限の森が広がっている。スライムたちがぷるぷるしてる様子を想像するだけで、なんか心がほどけていく。
あらすじに「意外と便利に使えるスライムたち」って書いてあるのも癒しポイント。スライムって基本的にまるくてかわいいフォルムだし、それが生活に役立ってくれるって最高じゃない?もふもふ系の動物とはちょっと違うけど、ぷるぷる系の癒しがここにはある。犬猫もいいけど、スライムもいい。異世界のペットとして考えたら、スライムってかなりアリだと思う。
……でもまあ、どれだけスマホの中で癒されても、朝になったら満員電車に乗って会社に行くんですけどね。でもいいの。寝る前のこの時間だけは、森でスライムと暮らす竜馬のそばにいさせてほしい。
見どころ④:前世サラリーマンの転生が刺さりすぎて涙腺がバグる
この作品が「働く人間」に刺さる理由は明確で、主人公の竜馬が「元・私たち」だからだ。前世でサラリーマンをやっていた人間が、異世界でストレスフリーな生活を送っている。それを読んでいる私は、現役のサラリーマン(正確にはOLだけど)。この構図、泣けてこない?
タナカ課長に「この資料、月曜の朝イチまでに直しといて」って金曜の夕方に言われたとき、私は心の中で「神様、私も拾ってくれませんか」って叫んでいる。竜馬は三柱の神に拾われたらしいけど、私を拾ってくれる神は今のところ現れていない。かろうじてこのマンガが神の代わりを果たしてくれている。
もし同じように毎日疲れていて、でも転職する気力もなくて、ただなんとなく日々を消化している人がいたら、寝る前にこの作品を読んでみてほしい。ガツンとした興奮じゃなくて、じんわりとした温かさがある。それが、案外、明日の朝起きる力になったりする。……少なくとも私はそうだった。
ユウの本音まとめ
『神達に拾われた男』は、読む前に想像していた以上に「やさしい」作品だった。異世界転生ものって、どうしてもチートバトルとか復讐劇とかの派手な展開を期待しがちだけど、この作品はそういう方向に走らない。あらすじを読む限り、竜馬はただ森で暮らして、スライムを研究して、まったりした日々を送っている。それがいい。本当にそれがいい。
疲れているときに必要なのは、強い刺激じゃなくて、静かな居場所だったりする。この作品はまさにそういう「居場所」を提供してくれるマンガだと思う。読んでいる間だけは、請求書もExcelも課長の無茶振りも全部忘れられる。竜馬と一緒にスライムの新しい使い方を考えている気分になれる。それだけで、今日一日頑張った自分へのご褒美としては十分すぎる。
明日もどうせ仕事だし、来週もその次もずっと仕事だ。でも、こういうマンガがスマホの中にあるってだけで、なんとか月曜日を迎えられる。次の巻も絶対読む。たぶん、また飲み会を断った夜に。

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