飲み会を断って帰ってきた夜だった。「ユウちゃんも来なよ〜」ってミカ先輩に誘われたけど、正直もう人間と喋る気力がなかった。今日だけで電話対応23件、タナカ課長の「これ急ぎで」が4回、あと謎の全体ミーティングが1時間半。もう無理。人間の相手は今日の営業時間終了です。風呂上がりにタオルで頭ガシガシしながらソファに倒れ込んで、とりあえずスマホを開いた。
電子書籍アプリのおすすめ欄に並んでたのが『貴族転生』だった。表紙の、いかにも強そうな金髪の王子様がこっちを見てて、「レベル上限∞」っていう文字が目に飛び込んできた。∞て。無限て。私の有給残日数は有限どころかほぼゼロなのに。なんかもう、その圧倒的なスケールの差に笑ってしまって、つい指が勝手にタップしてた。
そしたらもう止まらなくなった。ページをめくるたびに「はいはい強い強い」って思うのに、その”強い”が気持ちよくて目が離せない。気づいたら時計が2時を回ってて、明日も普通に仕事なのに。でもいいや。飲み会行って上司のご機嫌とるより、布団の中で最強王子の無双を見てるほうが百倍マシだった。
今日のユウのため息 ── 意味のない社内業務 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 貴族転生

| 作品名 | 貴族転生 |
|---|---|
| 作者 | 三木なずな, 華嶋ひすい, kyo, 栗元健太郎 |
| シリーズ | 貴族転生 |
| ジャンル | アニメ化, ファンタジー, バトル・アクション, 異世界系 |
要するにこういう話。とある帝国の皇帝の十三番目の子供として生まれた「ノア」っていう王子が主人公なんだけど、この子がもう生まれた瞬間から規格外。レベル上限が∞(無限)。しかも、従えた部下の能力を自分の能力にプラスできるっていうチートスキル持ち。つまり強い部下を集めれば集めるほど自分も強くなるっていう、もはやバグみたいな存在。
しかもただ強いだけじゃなくて「あふれる知性」持ちらしい。腕力だけじゃなくて頭もいい。……ずるくない? 私なんか事務処理でExcelの関数ひとつ思い出せなくて毎回ググってるっていうのに。
一言でまとめると、「生まれながらに最強スペックの王子が、部下を従えて異世界を統治していく無双ファンタジー」。なろう系で27万ポイント突破してるっていうから、この手のジャンルが好きな人にはもう定番なんだと思う。私みたいな疲れた人間が読むと、もう眩しすぎて目がくらむ。
見どころ①:レベル上限∞って、もう概念からして勝ってる
この作品の設定で一番ぶっ飛んでるのは、やっぱり「レベル上限∞」っていう概念そのもの。普通さ、異世界チート系って「レベル9999」とか「ステータスがカンスト」とか、数字がバカでかいパターンが多いじゃない。でもこの作品は上限という概念自体が存在しない。天井がない。私の残業時間みたいに青天井。……いや、それは笑えないか。
でもそれだけじゃなくて、「従えた他人の能力を自分にプラスできる」っていうのがまた秀逸なんだよね。あらすじを読む限り、ノアは一人で最強なだけじゃなくて、人を集めて、組織を作って、その力を全部吸い上げて強くなる。これって要するに「優秀な上司が優秀な部下を集めて最強の組織を作る」ってことじゃん。……うちの会社の真逆すぎて泣ける。タナカ課長は部下の成果を吸い上げるだけで自分は何も還元しないからね。
この手の無双系って「俺TUEEE」がメインの楽しみだと思うんだけど、「統治」っていう要素が入ってるのがポイント高い。ただ敵をぶっ倒すだけじゃなくて、国を動かす、人を率いるっていうスケールの大きさ。あらすじに「異世界統治ファンタジー」って書いてあるくらいだから、政治とか領地経営みたいな要素もありそうで、ただの脳筋バトルじゃない奥行きを感じる。
私は日々の事務処理で「誰かこの仕事全部やってくんないかな」って思いながら生きてるけど、ノアは逆に全部自分で引き受けて、しかもそれを完璧にこなしちゃうんだろうな。その差がもう、眩しいを通り越して、なんか浄化される。
見どころ②:最強王子ノア、お前が私の理想の上司だよ
主人公のノアがさ、あらすじ読んだだけでもう好きになりそうなのよ。十三番目の皇子って、序列的にはけっこう下のほうじゃん。皇帝の子供が何人いるか知らないけど、十三番目って普通なら日の目を見ないポジションだよね。なのにスペックが規格外。この「恵まれてない立場なのに実力で黙らせる」っていう構図、異世界ものの醍醐味として最高に刺さる。
しかも「あふれる知性」って。ここ大事。ただ強いだけの脳筋じゃなくて、頭がいい。たぶん戦略を練って、人を見極めて、適材適所に配置するタイプなんだと思う。こういう主人公って読んでて安心感がある。「この人についていけば大丈夫」って思える。……うちのタナカ課長にはない安心感。タナカ課長は「これ急ぎで」しか言わないからね。ノアを見習ってほしい、マジで。
あと、部下を「従える」っていうのがどういう形なのかが気になるところ。この手のジャンルだと、だいたい個性豊かな仲間キャラが出てくるはずで、それぞれが固有のスキルや能力を持ってて、ノアのもとに集まっていく展開がありそう。そういう「仲間が増えていく」過程って読んでてワクワクするんだよなぁ。
ミカ先輩が隣で「ユウちゃんもっとチームワーク大事にしなよ」って言ってくる顔が浮かぶけど、いや先輩、私だってノアみたいな上司の下なら喜んでチームワークしますよ。問題は上に立つ人間の質なんですよ。
見どころ③:敵を蹂躙する爽快感、これが疲れた脳に効く
この作品、ジャンル的にバトル・アクションが入ってるんだけど、あらすじを読む限りもう「勝てない要素がない」主人公なわけで。レベル上限∞、部下の能力プラス、知性もある。どう考えても負けようがない。で、それがいいのよ。疲れてる時に読むマンガに「主人公が苦戦してピンチになって…」みたいなハラハラは求めてないの。もう今日十分ハラハラしたから、仕事で。
圧倒的な力で敵をねじ伏せる、格下が格上に噛み付いてきて返り討ちにする、「こいつ何者だ…!?」って敵が驚愕する。この手の無双バトルのお約束って、読んでるだけで脳内からなんか気持ちいい物質が出る。ストレスで凝り固まった脳みそがほぐれていく感じ。言ってみれば精神的なマッサージ。
しかも「統治」っていうスケールだから、個人戦だけじゃなくて国同士の争いとか、政治的な駆け引きとか、そういう大きな舞台での無双もありそうで。敵国の軍勢を一人で壊滅させるとか、相手の策略を知性で見抜いて逆転するとか、そういう展開を妄想するだけでもう楽しい。……でもまあ、読み終わったら私はまた明日、Excelと向き合うんですけどね。無限のレベルはないけど、有限の体力で今日も生きる。
見どころ④:「能力プラス」スキル、会議室にくれ
ノアの「従えた他人の能力を自分にプラス」っていうスキル、これ現実にあったらとんでもないことになるよね。たとえば経理のスズキさんの計算速度、営業のヤマダさんのコミュ力、システム部のサトウさんのPC知識、全部プラスできたら……もう一人で全部門回せるじゃん。会社辞められるじゃん。いや、辞めたいわけじゃないけど。辞めたいけど。
通勤電車で読むのもいいんだけど、この作品は個人的に残業後に読むのが一番効く気がする。一日中人の指示で動いて、自分の判断で何かを決めることなんかほぼなくて、でもノアは全部自分で決めて、自分で動いて、しかもそれが全部うまくいく。このギャップがね、現実に打ちのめされた心にちょうどいい刺激になるのよ。
同じように毎日をなんとかやり過ごしてる社畜の皆さん、この作品は「あぁ、こういう世界もあるんだな」って、ほんの一瞬だけ背筋が伸びる感覚をくれると思う。伸びた背筋は翌朝には元に戻るけど、それでもいい。その一瞬があるかないかで、月曜の朝の重さがちょっとだけ変わる。
ユウの本音まとめ
『貴族転生』、あらすじ読んだ時点では「はいはい、また俺TUEEEね」って思ってた。正直そう思ってた。でもページをめくり始めたら、その「俺TUEEE」がちゃんと気持ちいいの。レベル上限∞っていう突き抜けた設定、部下の能力を吸収するっていう戦略性のあるチートスキル、そしてただ戦うだけじゃなくて「統治する」っていうスケール感。なろう系で27万ポイント取ってるのは伊達じゃないなって素直に思った。
主人公のノアが十三番目の皇子っていう立場から成り上がっていく(であろう)構図も好き。恵まれた能力はあるけど、立場的には決して楽じゃないっていうバランスが、たぶん物語に深みを出してるんだと思う。アニメ化もしてるジャンルだし、この手の作品が好きな人はもう読んでるかもしれないけど、まだの人は騙されたと思って序盤だけでも読んでみてほしい。
私は明日も朝8時に起きて満員電車に乗って、タナカ課長の「これ急ぎで」に対応する。レベル上限は∞じゃないし、誰かの能力をプラスすることもできない。でも、スマホの中にこういう世界があるから、なんとか明日も会社に行ける。続きが気になるから生きる。それでいいじゃん。

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