飲み会を断って帰宅した夜だった。同僚に「付き合い悪いね」って言われたけど、知らん。私は私の時間を守りたいの。コンビニで買ったハーゲンダッツをスプーンですくいながら、風呂上がりのほかほかの状態でスマホを開いた。今日の私は自分を甘やかすと決めている。電子書籍アプリのおすすめ欄をスクロールしていたら、とんでもないタイトルが目に飛び込んできた。「勇者さまは報酬に人妻をご希望です」……え? もう一回読んだ。「人妻をご希望です」。間違いなくそう書いてある。
普通、勇者の報酬って金貨とか聖剣とか王女様の手とかじゃないの。人妻って。なんでわざわざ人妻限定なの。脳内のツッコミが渋滞を起こしたまま、気がついたら表紙をタップしていた。だって気になるじゃん。このタイトルのインパクト、深夜のテンションにはあまりにも刺さりすぎた。
で、読み始めたら最後だった。ハーゲンダッツはいつの間にか溶けていた。こういうの、真面目に考えたら負けなんだろうけど、それにしたって面白いから仕方ない。設定のぶっ飛び具合に脳がバグって、気づいたら笑ってた。疲れた夜に必要なのは、こういう何も考えずに楽しめるやつなんだよな。
今日のユウのため息 ── 連休明けの絶望 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 勇者さまは報酬に人妻をご希望です

| 作品名 | 勇者さまは報酬に人妻をご希望です |
|---|---|
| 作者 | 遠山ブリン |
| シリーズ | 勇者さまは報酬に人妻をご希望です |
| ジャンル | ハードラブ, ラブコメ, 恋愛, バトル・アクション, お色気, 異世界系, ファンタジー, セクシー |
要するにこういう話。勇者・クロエは人々を魔物やら何やらから救う、いわゆる「勇者」ポジションのキャラクター。でもこの勇者、タダでは働かない。報酬を要求する。ここまではまあ分かる。現実だって労働には対価が必要だし、むしろ健全だよね。問題はその報酬の内容で、「その町で一番美しい人妻をくれ」って言うわけ。……うん、下劣。あらすじにも「この勇者、下劣ッ…!!」って書いてあるくらいだから、公式が認めてる。
一言でまとめるなら、「人妻にしか興奮しない変態勇者が、町を救う代わりに人妻を要求するエロファンタジー」。もう設定だけで情報量が多すぎる。普通の勇者モノの文法を全力でぶち壊しにいってるし、ジャンルとしてはラブコメ・お色気・バトル・アクションの全部盛り。こういう「振り切った」作品って、中途半端じゃないからこそ読めるんだよなあ。
見どころ①:設定のぶっ飛び具合が逆に潔くて好き
まず、この作品の何が良いって、設定が完全にネジ外れてるところ。勇者が報酬を要求するっていう時点でちょっと珍しいのに、その中身が「人妻」って。しかも「人妻にしか興奮しない」っていう謎の縛りまである。あらすじを読む限り、これを大真面目にやってるっぽいのがまた良い。中途半端にギャグに逃げないで、「町を救ってほしければ、人妻を寄越せ」って堂々と言い切る勇者クロエの振り切り方、私は嫌いじゃない。
こういうの、普段だったら「何読んでるの?」って聞かれたら絶対見せられないやつなんだけど、深夜に一人で読む分には最高のエンタメなんだよ。異世界ファンタジーの皮を被ったラブコメというか、お色気ありバトルありの全部盛りっぽい構成がタイトルとジャンルから察せられるんだけど、この手の作品って「ストーリーなんか二の次でしょ」と思いきや、意外としっかり読ませてくれるパターンが多い。だって「町を救う」っていう大義名分がある以上、ちゃんとバトルも展開されるわけで。
それに、報酬として人妻を要求されたときの町の人たちのリアクション、想像しただけで面白い。「えっ……?」ってなるでしょ、普通。その困惑と葛藤が物語の推進力になってるとしたら、設定の勝利としか言いようがない。「こんな勇者いらない」と「でもこの人しか町を救えない」のジレンマ、この手のジャンルならではの面白さだと思う。
現実の仕事でも「この人、仕事はできるけど人間性が……」みたいな人いるじゃないですか。タナカ課長とか。いや、タナカ課長は仕事もそこまでだけど。とにかく、能力と人格が反比例してるキャラって、見てて飽きないんだよね。
見どころ②:下劣な勇者クロエ、なぜか憎めない
主人公のクロエ、あらすじだけ見ると完全にアウトな人間なんだけど、こういうキャラって不思議と憎めないんだよな。たぶん、自分の欲望に正直すぎるところが逆に清々しいんだと思う。私たち、日常生活で本音を隠して生きてるじゃないですか。「残業したくないです」も「この会議無駄だと思います」も言えないまま愛想笑いしてるじゃないですか。クロエは自分が何を欲しいか堂々と宣言してる。方向性は完全にアレだけど、その正直さだけは見習いたい……いや、見習えないけど。
あと、この手のラブコメ・お色気系の作品って、ヒロインたちのリアクションが大事だと思うの。あらすじから察するに、「町で一番美しい人妻」が毎回登場するわけで、つまり各エピソードごとに新しいヒロインポジションの人妻が出てくるってことでしょ。その人たちがクロエに対してどう反応するのか——嫌悪するのか、意外と満更でもないのか、それとも町のために覚悟を決めるのか——そこのバリエーションが読み応えに直結してそう。
職場のミカ先輩に「こういうマンガ読んでるんですよ」って言ったら絶対「何それキモ」って言われるだろうけど、でもミカ先輩って実は少女マンガの壁ドンシーン大好きなの知ってるからね。ベクトルが違うだけで、結局みんなフィクションの中の「ありえない関係性」に弱いんだよ。クロエは確かに下劣かもしれないけど、ちゃんと町を救える実力がある勇者ってところがギリギリの魅力ラインを保ってる気がする。
あと個人的に、クロエに振り回される周囲のキャラたちの胃痛具合が気になる。勇者のお世話係とか仲間とかがいたら、毎日が地獄だろうな。でもそういう「巻き込まれ型」のキャラって、一番感情移入しやすいんだよね。私も毎日タナカ課長に巻き込まれてるから。
見どころ③:深夜のときめき枠、ただし変化球
恋愛・ラブコメとしてのこの作品、王道のキュンキュン路線とは明らかに違うんだけど、それがむしろ刺さるパターンがあると思う。だって、普通の「イケメン勇者が王女様を救って恋に落ちる」みたいな話はもう山ほど読んだわけ。お腹いっぱいなの。そこに「人妻限定の下劣勇者」が殴り込んでくると、脳のまだ使ってなかった部分が刺激される感覚がある。
この手のお色気ラブコメって、笑いながら読めるのが良いところ。キュンとするよりも「バカだなあ」って笑えるやつ。でもその「バカだなあ」の中に、ふとした瞬間にドキッとする場面が挟まってくるとしたら——それが一番ズルい。ギャグ8割、不意打ちのときめき2割みたいな配分の作品って、何気に中毒性が高いんだよね。タイトルとジャンルから察するに、この作品もそういう系統な気がする。
まあ正直、私が日常でときめくことなんて皆無なので。推しとかもいないし、恋愛なんて前世の記憶かってくらい遠い。だからこそ、フィクションの中でくらい「ありえない関係性」にドキドキさせてほしいわけ。クロエと人妻たちの関係がどう転がっていくのか、それだけで深夜のお供としては十分すぎる。……でも結局、朝になったらまた満員電車に押し込まれるんですけどね。ときめきは溶けたハーゲンダッツと一緒に消える。
見どころ④:「欲しいものを欲しいと言える」勇者が眩しい
クロエを見ていて一番グッときたのは、「報酬をちゃんと要求する」ってところ。これ、社会人として地味に大事なことじゃない? 私なんて有給申請するだけでタナカ課長の顔色うかがってるし、残業代の計算が合わなくても「まあいいか」で流してるし。「対価をくれないなら働きません」って言い切れるクロエ、方向性はともかくメンタルだけは尊敬する。
会社で「人妻をくれ」なんて言ったら即コンプラ案件だけど、異世界だからセーフ。そういうの、フィクションの特権だよね。現実じゃ絶対にできないことを堂々とやってくれるキャラって、見てるだけでストレス発散になる。ユナちゃん(後輩)が「先輩、最近なんか元気ですね」って言ってきたら、それはたぶんこのマンガのおかげ。
あと、「自分の好みがハッキリしてる人間」って強いよなあって思った。私なんてランチですら「何でもいいよ」って言っちゃうタイプだから。クロエの「人妻一択」っていうブレなさ、仕事のスタンスとして見たら……いや、仕事のスタンスとしては見ちゃダメだな。
ユウの本音まとめ
正直、タイトルだけ見たときは「大丈夫かこれ?」って思った。いや、今でもちょっと思ってる。人に「最近何のマンガ読んでるの?」って聞かれても絶対にタイトルは言えない。でもね、それとこれとは別で、読んでるときはちゃんと楽しいの。設定のぶっ飛び具合にツッコミ入れながら、クロエの清々しいまでの欲望の直球っぷりに笑えるし、お色気ラブコメとしてのサービス精神も感じられるし、バトル要素もあるっぽいしで、娯楽としての完成度が高い予感しかない。
こういう作品に出会えるから、深夜のスマホタイムはやめられない。明日も飲み会断って帰るかもしれない。同僚には「体調悪い」って言っておく。本当の理由は「帰って続き読みたいから」なんだけど、それは墓場まで持っていく。
現実にはときめきもないし、報酬の交渉もできないし、タナカ課長は相変わらずだけど。でもこのマンガを開けば、欲望に忠実な勇者が今日も町を救ってくれる。それだけで、なんか明日もちょっとだけ頑張れる気がする。……気がするだけだけど。


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