飲み会を断って帰ってきた夜だった。上司のタナカ課長が「チームの親睦を深めるため」とか言って企画した居酒屋、私は「体調が…」と言って逃げてきた。だって金曜じゃないし。水曜の夜に飲み会って何? 明日も仕事あるんだけど? っていうかそもそも親睦深めたい相手がその場にいないんだけど? とか思いながら風呂に入って、髪も乾かさないままベッドに倒れ込んで、スマホを開いた。
電子マンガアプリのおすすめ欄に出てきたのが、この作品だった。「地味なおじさん、実は英雄でした。」……タイトル長い。サブタイトルまで読んだら「姪のダンジョン配信で晒されてた」って書いてある。なんだその設定。気になりすぎる。しかも主人公41歳独身サラリーマンって、私の10年後の姿じゃん(性別は違うけど精神構造は同じだと思う)。表紙のおじさんがスーツ姿でバット振ってるっぽいイラストを見て、なんかもう、直感で「これは読まなきゃいけないやつだ」って思った。
タップした。それが間違いだった。いや、間違いじゃなかった。ただ、気づいたら日付が変わっていて、明日の仕事のことが完全に頭から消えていた。飲み会断ってまで確保した夜の時間、このマンガに全部持っていかれた。後悔はしていない。むしろ飲み会行かなくてよかったと心の底から思った。
今日のユウのため息 ── 休日の虚無感 ──

…まあ、愚痴はこのへんにして。今日の本題いくわ。
作品情報 ── 地味なおじさん、実は英雄でした。〜自覚がないまま無双してたら、姪のダンジョン配信で晒されてたようです〜

| 作品名 | 地味なおじさん、実は英雄でした。〜自覚がないまま無双してたら、姪のダンジョン配信で晒されてたようです〜 |
|---|---|
| 作者 | 三河ごーすと, 今野ユウキ, ユーキあきら, 瑞色来夏 |
| シリーズ | 地味なおじさん、実は英雄でした。〜自覚がないまま無双してたら、姪のダンジョン配信で晒されてたようです〜 |
| ジャンル | 異世界系, ファンタジー |
要するにこういう話だ。主人公の佐藤蛍太さん、41歳独身サラリーマン。毎日ストレスを抱えて働いている、どこにでもいる社畜のおじさん。ただ一つだけ普通じゃないのが、ストレス発散の方法。現代に出現したダンジョンに一人で潜って、凶暴なモンスターをバッティングセンター感覚でぶっ飛ばしてるらしい。……いや、スケールがおかしい。私のストレス発散がスマホでマンガ読むことなのに、この人はモンスターを物理で殴ってる。次元が違う。
で、そのありえない強さを、同居している姪っ子の光莉ちゃんがこっそり尾行して配信しちゃう。当然大バズり。本人は全然知らない。有名配信者にまで注目されてるのに本人だけが気づいていないという、あの「無自覚最強系」ってやつだ。一言でまとめると、「ストレスまみれの社畜おじさんが、自覚ゼロのまま配信で英雄バレしていく話」。……いいじゃん。めちゃくちゃ好きなやつじゃん、これ。
見どころ①:「ダンジョンがバッティングセンター」という設定だけでもう優勝
まず、この作品の設定がずるい。「現代にダンジョンが出現する」っていう世界観、最近よく見るんだけど、このマンガの面白いところは主人公がそのダンジョンを完全にストレス発散の場として使ってるところだと思う。冒険者として名を上げたいとか、人類を守りたいとか、そういう崇高な目的が一切ない。ただ仕事のストレスを殴りたい。それだけ。……わかる。わかりすぎる。私だってサンドバッグがあったら毎日殴りたい。
「バッティングセンターがわり」って表現がもう天才。普通のマンガだったら「世界を救うため」とか「大切な人を守るため」とかカッコいい理由をつけるところを、このおじさんはただストレスを発散してるだけ。それなのにありえないくらい強い。この「目的と結果のギャップ」がたまらない。頑張ってないのに結果が出るって、社畜にとって最高のファンタジーだと思う。だって現実は頑張っても結果が出ないことのほうが多いから。
そしてそこに「配信でバズる」っていう現代的な要素が加わるのが、あらすじを読む限りすごく今っぽい。本人が知らないところで評価されていくっていう構造、じわじわ来るものがある。自分の価値を自分で気づけないって、現実でもよくある話だし。でもこのマンガだと、それが「実は英雄だった」っていう最高の形で明かされていくわけで。この手の「無自覚バレ」展開って、ページをめくるたびにニヤニヤが止まらなくなるんだよな。
現代ダンジョンものでありながら、社畜の日常とシームレスにつながってる感じが、読み始めたらすんなり入り込める理由だと思う。異世界に飛ばされるわけでもなく、仕事帰りにダンジョン寄ってモンスター殴って帰る。その生活感のあるファンタジー加減が、絶妙に心地いい。
見どころ②:佐藤蛍太41歳、私たち社畜の代弁者
佐藤蛍太さん。41歳独身。社畜サラリーマン。……もうこの時点で親近感がすごい。私はまだ30代だけど、このまま行ったら確実にこうなるという未来予想図が目の前にいる。でもこのおじさん、地味なだけで実は英雄なんだよね。タイトルがそう言ってるんだからそうなんだよ。これ、すごく救いがある設定だと思う。「地味に見えてる人が実はすごい」って、現実にもそうであってほしいって思わない? 私もどこかで実は英雄だったりしないかな。しないか。しないな。
姪っ子の光莉ちゃんの存在もいい。あらすじを読む限り、おじさんの無自覚な強さを世間に晒してしまう役割なんだけど、おじさんと姪っ子の同居っていう関係性がまず気になる。独身のおじさんが姪っ子と暮らしてるって、何かしらの事情がありそうで、そこに人間ドラマの予感がする。こっそり尾行して配信するっていう行動力もすごいし、この子がいなかったらおじさんは永遠に地味なおじさんのままだったわけで。姪っ子、ファインプレーすぎる。
私の職場に置き換えると、佐藤蛍太さんはうちの部署にいる寡黙な先輩社員みたいなポジションかもしれない。普段は目立たないし、飲み会でも隅っこにいるタイプ。でも実はとんでもないスキルを持ってて、いざという時にめちゃくちゃ頼りになる。そういう人、いるよね。タナカ課長はたぶん配信を見て「俺も若い頃は…」とか言い出すタイプ。やめてほしい。
この手のジャンルって、周囲が主人公の強さに気づいてリアクションするシーンが醍醐味だと思うんだけど、「配信の視聴者」っていう不特定多数のリアクションが入るのが新しい。コメント欄が荒れたり盛り上がったりする感じ、想像するだけで楽しい。
見どころ③:殴って解消、見て爽快。ストレス発散マンガの最適解
この作品の一番の魅力は「爽快感」だと思う。社畜が溜め込んだストレスを、ダンジョンのモンスターにぶつけて吹っ飛ばす。しかもそれが配信越しにバズるっていう、二重の気持ちよさ。読んでるこっちまでスカッとする構造になってるのが、あらすじの時点でもう伝わってくる。モンスターをバッティングセンター感覚でかっ飛ばすって、その絵面だけで爽快じゃん。
私のストレス発散は深夜にマンガを読むことだけど、このおじさんはモンスターを殴ることなんだよね。物理で解決できるストレス発散、羨ましすぎる。会社で溜まったイライラを、帰り道にダンジョン寄ってモンスター殴って発散する生活。それ、最高じゃない? 現実にダンジョンがあったら私も絶対行く。……いや、私の場合はモンスターに瞬殺されるだろうから、結局スマホでマンガ読んでるんだろうな。
無自覚最強のおじさんがモンスターを蹂躙していく爽快感と、それを知らない本人のギャップが生む笑い。バトルの気持ちよさとコメディの楽しさが両方ありそうなのがこの作品の強みだと思う。でもまあ、どれだけこのマンガでスカッとしても、明日の朝にはまたタナカ課長の顔を見なきゃいけないんだけどね。モンスターは殴れるけど、上司は殴れない。それが現実。
見どころ④:社畜はダンジョンに行けないから、せめてこのマンガを読む
佐藤蛍太さんの日常、「ストレスを抱えながら面倒な仕事をこなす毎日」ってあらすじに書いてあるんだけど、これ私のことじゃん。っていうか日本中の社畜のことじゃん。この人と私の違いは、ストレス発散の方法がモンスター殴打かマンガ読みかってだけで、根っこの部分は完全に一緒だと思う。
タナカ課長の無駄な会議でHPが削られた日、ミカ先輩の「これ急ぎでお願い」で追加ダメージを食らった日、そういう日にこのマンガを開いたら、おじさんがモンスターをぶっ飛ばしてくれるわけでしょ。代わりに殴ってくれてるようなもんだよ。しかもおじさん自身が社畜だから、「わかるよ、その気持ち」っていう謎の連帯感まである。社畜が社畜に共感して、社畜の無双を見て元気をもらう。この循環、ちょっと泣ける。
あとこのマンガ、通勤電車で読んでも周りにバレにくいのが地味にありがたい。タイトルに「おじさん」って入ってるから、なんかビジネス書でも読んでる雰囲気出せそう。出せないか。
ユウの本音まとめ
正直、タイトルを見た時は「また無自覚最強系か」って思った。思ったんだけど、主人公が41歳の社畜おじさんで、ストレス発散でダンジョン行ってて、それを姪っ子に配信で晒されるっていう設定の時点で、「これはちょっと違うぞ」って直感が働いた。その直感は正しかったと思う。あらすじを読んだだけでこれだけ惹き込まれるんだから、読み始めたら確実に止まらないやつだ。
社畜が主人公のマンガは色々あるけど、「仕事のストレスをモンスターで発散する」っていうシンプルな構図がここまでしっくり来る作品はなかなかない気がする。しかも無自覚で、しかも配信でバレていくっていう今どきの展開。現代ダンジョン×社畜×配信バズりって、要素の掛け算が天才的だと思う。
飲み会断って読んだこのマンガ、大正解だった。タナカ課長、親睦会よりこのマンガ読んだほうがよっぽどチームの士気上がるよ。次の巻が出たら、今度は有給取って読む。現実にダンジョンはないし、私はモンスターを殴れないけど、このマンガを読んでる間だけは、佐藤蛍太さんが私の代わりにストレスをぶっ飛ばしてくれる。それだけで明日もなんとか会社に行ける気がする。たぶん。

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