DVや孤独、行き場のない絶望に抗うために「不倫」を選ばざるを得なかった女たちの物語。日々の生活に擦り切れて、どこか遠くへ逃げ出したいと願う人にこそ、この毒が必要かもしれない。
鏡に映る自分という名の他人に絶望する夜

鏡を見るのが怖いというか、もはや鏡に映っているのが自分なのか、それとも使い古された雑巾なのか判別がつかない。美容院?最後に行ったのがいつか思い出そうとすると知恵熱が出そう。髪の毛はパサパサで、指を通すと「ブチッ」という嫌な音とともに枝毛が千切れる。指先に残るその感触が、自分の女としての死を告げているみたいで笑えてくる。
クローゼットを開ければ、首元がよれよれになった数年前のカットソーと、膝の出たスウェット。これに袖を通す時、心の中で何かが確実に摩耗しているのを感じる。オシャレをして誰に会うわけでもないし、化粧水をつける手ですら重たく感じるこの身体的な倦怠感。重力に逆らうのを諦めた頬の肉を眺めながら、ストロングゼロを流し込む夜が一番落ち着くなんて、終わってる。こんなクソみたいな現実を忘れるには、他人のもっと深い泥沼を覗き見して、自分を麻痺させるしかない。
今日のデトックス用マンガ
| 作品名 | 救済不倫 |
|---|---|
| 作者 | 川本貴裕 |
| 出版社 | 白泉社 |
綺麗事だけじゃ救われない不浄な癒やし
このマンガ、ただの不倫モノだと思って読むと、胸の奥を鋭利なナイフで抉られる。DVから逃れるため、あるいは政略結婚への復讐として、不倫という名の「救い」を求める女たちのオムニバス。普通の幸せなんてどこにも落ちていないと悟った彼女たちが、一瞬の情事で見出す微かな光が、あまりに脆くて美しい。
育児疲れで気が狂いそうな母親や、夫の支配に怯える妻。彼女たちが選んだ禁断の果実は、社会的には「悪」なんだろう。でも、死んだ魚のような目をして生きるよりは、地獄への片道切符を握りしめている彼女たちのほうが、よっぽど人間らしく見えるのが皮肉だね。
壊れる前に踏み出す一歩が不倫という地獄
「不倫でしか救えない女性たちがいる」なんて言葉、普通に生きてる人からすれば詭弁に聞こえるんだろうな。でも、毎日鏡を見て絶望して、社会の理不尽に耐え続けてる私からすれば、その気持ちが痛いほどわかる。髪を整える気力すら奪われた女にとって、誰かに「女」として扱われる瞬間がどれだけ甘い毒になるか、想像するだけで震える。
道徳心なんて、腹の足しにもならない。他人の人生が崩壊していく様を覗き見していると、自分のこの空っぽな虚無感さえも少しだけ肯定されるような気がしてくる。彼女たちの悲鳴が、私の深夜のBGMにはちょうどいい。

このマンガはこんな人に刺さるはず
- 「正しい生き方」に疲れ果ててしまった人
- 他人の家庭の崩壊を安全な場所から眺めたい人
- 愛よりも深い絶望と救いを感じたい人
泥沼に浸かって現実の砂を洗い流す
この作品を読んでも、私の毛玉だらけの部屋着がシルクに変わるわけじゃない。でも、もっと悲惨な状況で足掻いている女たちの物語を摂取することで、明日もまた死んだ目で会社に向かう気力が少しだけ湧いてくる。不倫は救済か、それとも破滅の始まりか。そんな答えのない問いに溺れる時間は、ストロングゼロよりもよく回る。
もしあんたも、自分の人生がどうしようもなく薄汚れて見えるなら、いっそこの泥沼に飛び込んでみるといいよ。綺麗さっぱり洗い流されることはないけど、自分より重い罪を背負った女たちの姿に、少しだけ救われるかもしれないから。気になったらチェックしてみれば。

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